重要事項説明書で確認すべきポイント


施設選びに迷いが生じてしまった明美さん。ケアマネに相談したところ、「まずは施設の重要事項説明書を確認してみたら」とアドバイスをもらいます。重要事項説明書には、施設のサービス内容をはじめ、経営法人の概要、職員の配置状況などの項目があり、Webサイトやパンフレットには記載されていない事項が確認できる、施設を選ぶ際に欠かせない情報がまとまった書類です。有料老人ホームだけでなく、サービス付き高齢者住宅(サ高住)や特別養護老人ホームなどの施設でも用意されているものだとケアマネに教えられました。

「重要事項説明書で確認すべきポイントはいくつかあります。施設概要には、入居時の条件や居室の広さ、共同設備の詳細のほか、協力医療機関の名称や夜間看護の有無などが記載されています。これは命に関わる問題なので重要なポイントですよね。また、重要事項説明書には入居者の状況もまとめられています。入居者の人数や要介護度が書かれていますが、入居期間が長い人が多ければ多いほど、健康管理や満足度が高い証拠と言っても良いのではないでしょうか。

職員に関しても同じで、介護福祉士や介護職員初任者研修修了者、介護職員実務者研修修了者の割合が多いほど介護体制がしっかりしているとも言えます。ここでは採用人数や退職者数もチェックしてみてください。また、相談や苦情受付の体制もポイントの1つ。受付窓口の有無を確認して、業務が適切に機能しているかどうかを見てください。それ以外にも、居室移動時にかかる追加費用の有無など、利用料金に関してはトラブルになりやすいので、事前にしっかり確認しておいてくださいね」

 


施設選びは自宅選びと同じものだと考えて


実は明美さんが施設見学に行ってすぐに渡されたのは、施設の概要が書かれたパンフレットでした。写真も綺麗でメリットばかり書かれているので、これでは実態がわかりません。そこでケアマネに教えてもらった重要事項説明書を見せてもらうと、そこにはあらゆるデータが載っていたのです。

後日そのことをケアマネに報告すると、「施設選びは自宅選びと同じですよ」とひと言。

「マイホームを買う際、値段、立地、間取り、日当たり、地域環境、建築土台、近隣の様子などをチェックしますよね? それと同じ感覚です。施設というのは生活の場であり、終の棲家になる可能性が高いですから。大げさなようですが、施設の良し悪しによってその後の人生の幸福度が左右されます。入居者本人もご家族も納得できる施設であるのか、しっかり確認してみてくださいね」

ちなみに、老人ホームを検討する際は、一般的に問い合わせ→施設見学→重要事項説明の提示、という流れで進みます。見学時にはぜひ重要事項説明書を見せてもらいましょう。施設には、内容に関する説明義務があり、入居希望者から要望があれば提示しなければなりません。また、重要事項説明書は施設に問い合わせる前の検討材料としても利用できます。

重要事項説明書は、都道府県が有料老人ホームの重要事項説明項目を一覧表で公開していたり、経営法人が該当施設をまとめて公開しているほか、特別養護老人ホームが自己施設を独自公開していることもあります。インターネットで簡単に確認することができるので、忙しくて施設に足を運べない方は事前準備として調べておくと良いでしょう。
 

重要事項説明書の内容をインターネットで検索するには


【都道府県名 介護 重要事項説明書】で検索・・・その地域の施設が一度に確認できる。
→希望する地域にどのような施設があるのか比較したい時など

【経営法人名 重要事項説明書】で検索・・・その母体法人の施設が一度に確認できる。
→特定の法人(ニチイ、ツクイなど)を推薦されて、その法人が気になる時など

【個別の施設名称 重要事項説明書】で検索・・・個別施設の詳細情報が確認できる。
→特定の施設の評判が良いと聞き、詳細を確認したい時など
 

写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子


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