「母親1人の年金で大丈夫?」夫を亡くした妻に降りかかる年金問題_img0
 

公的年金(厚生年金・国民年金)の支給額が将来的に減ってしまうかもしれないなど、何かと話題に上がる年金問題。先々のことに対する不安はもちろんですが、今の年金受給者世代も心配事がないわけではありません。1年ほど前に父親を亡くした専業主婦の明子さんは、母親が自分の年金だけでこれまで通りの暮らしを維持できているのか心配になってきました。夫に先立たれてしまった妻は、夫婦2人の時に比べてどのぐらい年金が減ってしまうのでしょうか。今回は、親の年金について考えます。

 


夫亡きあと妻の年金額は激減するもの


明子さんの母親は、子育てのために仕事を辞め、以来専業主婦として暮らしてきました。父親が元気だった頃は月々22万円の世帯年金をもらっていましたが、亡くなってからはその額が激減。今は13万円の支給しかありません。

明子さんはこれまで親の年金については特に興味もなく、聞きにくかったこともあって触れずにきてしまいました。しかし母親も75歳を過ぎ、お金の管理が難しくなる前に通帳を預かることになって、初めてその額を知ることになったのです。

今は両親が存命でも、いずれはどちらか先に亡くなります。平均寿命は女性の方が長いため、母親が1人で残されるケースの方が多いとも言えるでしょう。多くの場合、夫婦2人の年金で生活していますが、父親が亡くなってしまうと当然母親だけの年金になります。だからと言って、必要な生活費が半分になるわけではありません。
 

男女別の平均年金月額には6万円もの差が


厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号:公務員以外の民間企業から加入)受給者の平均年金月額は、令和2年度末時点で146145円(老齢年金のみの金額)となっています。男女別の平均年金月額は、65歳以上の男性で170391円、女性は109205円と6万円ほどの差があり、明子さんの母親のように夫に先立たれてしまうと、貯金を切り崩していくほか方法はありません。

年金額は、現役時代の働き方、働いた期間、報酬額によって異なりますが、明子さんが育ったのは一般的なサラリーマン家庭。なのでこれは誰にでも起こり得る問題なのです。

〜明子さんの母親の年金受給額の変化〜
父親会社員/母親専業主婦の場合


【父親生存中】世帯年金 約22万
→【父親死亡後】国民年金+遺族厚生年金 約13万

自営業や共働きだった場合は、また少しずつ金額も変わってきます。参考までに、他の例も紹介しておきましょう。

①父親会社員/母親会社員 
【父親生存中】世帯年金 約27万
→【父親死亡後】厚生年金+遺族厚生年金 約14万

②父親自営業/母親専業主婦 
【父親生存中】世帯年金 約13万
→【父親死亡後】国民年金 約6.5万

③父親自営業/母親自営業 
【父親生存中】世帯年金 約13万
→【父親死亡後】国民年金 約6.5万

 
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