温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)が、5月27日に発売となりました。新刊から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。

 

子どもが独立したら、
次なるゴールを設定

結婚して子育てをして、子供が巣立った後、心にぽっかりと穴が開いたようになってしまう女性は少なくありません。

今までは子供を育て上げることにがむしゃらに頑張ってきたけれど、その目標がなくなることは、ひとつの喪失体験でもあります。
このタイミングに更年期が重なると、更年期障害がひどくなることさえあります。

子供が巣立っても、夫婦仲がよければ、その後の人生、二人で旅行するなど楽しく過ごしていけます。でも、仲が悪いわけでもないけれどあまり会話がないような関係だと、この先、何をして生きて行こうかと、目標を見失ってしまうことも多いようです。

 

特に、50〜60代の女性の悩みを聞いていると、〝夫が人の気持ちに無頓着〟という声が結構多かったりします。
これは、人とのコミュニケーションより、仕事を一生懸命にこなして社会で認められることや、業績を伸ばすことを優先してきた世代の男性の特徴なのかもしれません。

こんな場合、どうしたらよいのか考えてみると、何か次なるゴールを見つけるといいように思います。
ゴールを設定すれば、やる気が出て、モチベーションが続きます。

 


趣味の世界でのゴールや、「健康でいる」というゴールを設定


たとえば、一生懸命に子育てをしてきた方ほど、今まで自分の趣味に費やす時間がなかったですよね。これからは趣味の世界でのゴールを設定して、そこを目指すといいと思います。もしそれをパートナーと一緒に目指せれば、なおいいですね。

それ以外では、「健康でいること」をゴールにするのはどうでしょう。
年齢が高くなるほどなりやすい病気が認知症で、現在は認知症で介護が必要な人が300万人、介護や支援を必要としない認知症の人が150万人もいるというデータがあり、2025年には700万人になるだろうと言われています。

特に女性には認知症が多く、85歳以上の55%が認知症と言われています。
ただ、血圧やコレステロールや血糖値をしっかり管理すること、運動をして体重を増やしすぎないこと、喫煙や飲酒を控えること、栄養バランスのとれた食生活をすることなどで、認知症は防げることがわかっているので、予防のための取り組みをコツコツと続けるのは、よい目標ですよね。

 
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