ムン・セフンの一途な片思い

Netflixシリーズ『脱出おひとり島』独占配信中

男性メンバーの中で最も強烈なインパクトを残した……と言えるのが、ムン・セフン。彼はとにかくジヨンに対して、一途な恋心を貫きました。

『脱出おひとり島』の前半ルールの中で特徴的なのが、「男女が互いに指名してマッチングすると、地獄島を抜け出して、天国島(と呼ばれていますが、実際は天国のようにゴージャスなリゾートホテル)に行ける……という点。

 

ちなみに天国島のロケ地は、仁川空港近くにあるパラダイスシティというカジノ付きのリゾート施設なのですが、これがまた見ていてワクワクしてしまうくらいゴージャス。なんだか突き抜けてバブリーな非日常空間を見られるのも、楽しみのひとつでしたね。

天国島で特別な時間を過ごすためには、男女がマッチングしなくてはなりません。そのため、お互いの腹のうちを探りながらの心理戦が繰り広げられていきます。

中には、自分の素直な恋愛感情よりも“誰とだったら手っ取り早くマッチングできるか”を優先したメンバーも当然いたでしょう。しかし、セフンは違ったのです。彼の「天国島に行くなら、ジヨンとでなくちゃ嫌だ」という思いは終始一貫していました。

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中盤では、さすがにジヨンが気の毒になった時さえありました。気持ちに応えられないと言っているのに、一方的な思いを押し付けられれば押し付けられるほど、人は逃げたくなるもの。そんな当然とも言える恋愛のルールを無視して、一途に思いつづけるセフンは、痛々しくて見ていられませんでした。

途中、女性メンバーのソヨンがセフンに「ジヨンは断り続けているのに、何度もアタックされるのは彼女もキツイと思う」とアドバイスをする場面がありました。あのときのセフンの態度に、驚いた人も多かったと思います。「そんなことを他人から言われたくはない!」と激怒し、「本気でプライドが傷ついた」とソヨンを責め立てる喧嘩シーンは、ハラハラしました。

あの時点では私も「セフン、プライド高すぎでしょ……。実際ジヨンも本当に迷惑そうだし、いい加減に諦めなよ……」と本気で呆れたのですが……。それがまさかの、一途な思いが勝利を掴むという結末に!

おそらく99.9%の人が望みはないと思っていたのに、セフンだけは諦めずに思いを貫き通したのです。そこからジヨンの心がほぐれていく様子を見て、「愛は伝わるものなのか……」と感動してしまいました。

それまで私は勝手に、彼のジヨンへの想いは、相手の気持ちはおかまいなしで、自分の気持ちを押し付けるような、一方的で身勝手な愛だと思っていました。しかし、最後の天国島のシーンでそうではなかったことが明らかになるのです。

ジヨンが「セフンの思いに応えてあげたら? という周りからのストレスで苦しんだ時期があった」とこぼした際に、セフンが彼女にかけたのは「つらかったね」という言葉でした。彼こそがずっと報われぬ恋に苦しみ続けたはずなのに、先にジヨンを気遣ったのです。

あの瞬間、ジヨンは涙をこぼしながら、決して身勝手で利己的なわけではないセフンの思いを受け止めたのでしょう。そういえば天国島に行く道でも、セフンは「答えを求めてるわけじゃないから、負担に感じないでほしい」とジヨンを気遣っていました。

まさかの逆転劇を見ながら、“追いかければ追いかけるほど逃げられる”なんていう恋愛の定説を鵜呑みにし、「セフンの恋がうまくいくはずない」と決めつけていた自分が少し恥ずかしくなりました。本当に相手を想っていれば、時に、素直で純粋な気持ちが勝つことだってあるのです。

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