2014年、わずか6型のシャツからブランドが始まった「MADISONBLUE(マディソンブルー)」。以来、”ハイカジュアル”を提案し続け、今やエクセプショナルなブランドに。
そのマディソンブルーのデザイナー兼ディレクターである中山まりこさんをファッションエディターの松井陽子さんが訪問し、その服の魅力に迫ります。前回に続き第2回は、ブランドのアイコン的存在でもあり、中でも松井さんが愛用しているというシャツについてお届けします。
右)中山まりこ●「マディソンブルー」デザイナー&ディレクター。2014年にブランドをスタート。トラッド、ワーク、モード、エレガンスなどのエッセンスを絶妙にブレンドしたハイエンドなカジュアルスタイルの提案に、おしゃれに一家言ある大人の女性たちから絶大なる信頼を集める。Instagram: @marikonakayama @madisonblue_official
左)松井陽子(まついようこ)●ファッションエディター&ライター。湘南在住。雑誌やカタログ、広告など広いジャンルで活躍中。mi-molletで月に2回アップされる「スタッフの今日のコーデ」も人気。Instagram: @yoko_matsui_0628
等身大のおしゃれを叶えてくれたシャツ『ハンプトン』
40歳を過ぎてシャツを着る機会がぐっと増えたのは、思っている以上に自分に「合っている」ことに気づいたから。それを教えてくれたのがマディソンブルーのシャツであり、まりこさんのシャツの着こなしでした。
「合っている」というのは、似合っているかどうかという以前に、私のライフスタイルにぴったりとマッチしたということです。30代の前半に湘南に移り住んでからは、それまで都内で生活していた頃よりもおしゃれもずっとずっと気楽になり、より自分本位になりました。燦々と降り注ぐ夏の陽射し、砂もろとも吹きつけてくる海からの南西風。そんな中で繰り広げられる日常においては、要か不要か、快か不快かと、まずは自分の感性が第一優先。それから相手や場のことを慮る、というぐあい。
そんな私の日常にまさにフィットしたのが、シャンブレーのシャツ『ハンプトン』。見たところ夫のクローゼットにありそうなシャツで、ともすると無骨な印象でしたが、袖を通して鏡の前に立ってみると、意外や意外。風が通り抜けるようなゆったりとしたシルエットで、ワークシャツの風情なのに女性らしい。手持ちのトップスとは確実に違うバランスで、袖を通しただけでサマになるのに驚きました。
きっちりと着るためのシャツではなく、ゆるっと空気ごととりこむように着る。袖はギュッと肘くらいまでたくし上げ、襟元も抜くように。その力の抜けたバランスがじつに新鮮で、それが世の大人の女性のシャツの着こなしの一つの正解形になったことは間違いありません。
「アイコンになるものを作りたかった。ならば、大好きで自分が着てきたものだなって。若い頃から古着のシャツが大好きで本当によく着ていたし、たくさん集めていたの。それが40歳を過ぎると、なんだか肌とのバランスが悪くなってしまって。でも、やっぱり私のワードローブには欠かせない。だったら自分で作るしかない! ってね」
そうやって生まれた『ハンプトン』。ニューヨークのいわゆるソーシャライツたちの別荘地でもあり、週末や夏の間の余暇を過ごす街、それがハンプトン。その名前を掲げたこのシャツは、街を包み込む大人の自由で洗練された空気感をそのまま形にしたような、どこかこなれた雰囲気。
「もともとメンズシャツだから、私が着るときはいつも袖をギュッとたくし上げて、どこか女っぽく見えるように着ていたの。このシャツもそのイメージ。好きなシャツのいいところを詰め込んで、袖がたくし上げやすいようにも工夫をして、ね」
折り返した袖からコソッと現れる「B」のワンポイントは、今やブランドの象徴。これは人生のパートナーである夫、地主さんの「絶対につけた方がいい!」というアドバイスによるものだったということは、今回初めて聞いたこぼれ話!
着るほどに柔らかな風合いを増すシャンブレー素材。濃淡の2色ともに私は愛用しています。気分や装いにフィットさせるためには、この2色はどちらも必要な色。年中活用しているので、特に淡い色の方はかなり経年変化しています。
それは、着続けている証。クタっとしてきた様子も、ますます愛しく感じられます。
愛しく、といえばもう1つ。私のワードローブに欠かせないのが『マダムシャツ』です。こちらの話はまた次回に。どうぞお楽しみに。
<次回に続く>
構成・文/松井陽子
編集/朏 亜希子(mi-mollet編集部)
撮影協力/マディソンブルー
Comment