一方、②「正しさ」への違和感を自分の中に見つけたら、時間をとってじっくり掘り下げてみたいです。
そもそも「正論」ってなんでしょう。それは、古い価値観において正しいとされていたこと、かもしれないですよね。
レミさんの例でいうと、「事務作業はシステムで自動化できる中、今の業務分担は本当にフェアなのかな?」「進学やキャリアの選択肢がびっくりするほど多様化しているのに、子どもの自主性に任せていいのかな?」。そんな風に、「正論の前提」が変わっているのではないかという発見があるかもしれません。
違和感をきちんと言語化できれば、相手と話し合うことができます。正論マンと冷静に議論できれば、「正論で殴られた!」と思ってしまったレミさんのモヤモヤも解消されるのではないでしょうか。
マルチタスカーならではの視点で、正論をアップデートしよう
正論を堂々と主張することができるのは、「持てる者の特権」という側面もあります。
ここでいう「持てる者」というのは、あまり色々な種類のことに気をつかう必要がない、余裕のある人のこと。キャリア・家族・友人・個人としての生活……。守るものが多く、人生が複雑な人ほど、一面的な「正しさ」を主張するのが難しくなるのではないでしょうか。
そもそも、レミさんのようなマルチタスカーが他人に押し付けられる正論をまともに受け止めていると、正論の交通渋滞が起きてしまいます。人間に与えられているのは等しく24時間ですから、「母としての正しさ」「社会人としての正しさ」「個人としての正しさ」を純粋に追い求めてしまうのは自殺行為。
それより、マルチタスカーならではの視点で正論の前提を疑い、より柔軟で優しい「新しい正しさ」にアップデートするように努めていく方が絶対にいい。
ぶつけられた正論にカチンときてその人と距離を置いたり、感情的な言葉で応戦するのではなく、「もっと視野を広げて、どうすべきか改めて考えてみない?」と提案できたらいいですね。自分の正しさに自信満々の正論マン。彼らに、「彼らが見えていない事情や考え方」を見せてあげられるのは、レミさんのようなマルチタスカーだと思います。
なんだか遠回りするような気がするかもしれませんが、狭量な正論に苦しめられるより、ちょっと一時停止して考えてみる方が長期的に見てレミさんと周囲を幸せにするはずです。
「私にどんなにやる気があっても、業務分担上ここまでしか仕事を任せてもらえない」
「なんでも自分で決めろと言われて育ってきた。これからもそうやって生きていかなければならない」......
かたくなに正論を主張する人は、実は自分自身がその正論にがんじがらめになって苦しんでいるのかも。レミさんが声を上げてくれることで、その苦しさから救われる人もいるかもしれませんね。
皆さんのモヤモヤ話を教えてください!
職場や家庭で、イラっとしたけど言えなかった、違和感を感じたけど言葉にできなかった、モヤモヤしているのは私だけ? と思った経験がありましたら教えてください。エピソードを掲載させて頂く際はミモレの会員ニックネームではなく、仮名でご紹介します。皆さまからのエピソード投稿をお待ちしております。
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構成/山本理沙
前回記事「【中間管理職の悲哀】プレッシャーと突き上げの板挟み。そこで磨かれるスキルとは?」はこちら>>
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