もうすぐ新学期。そして毎年恒例、PTAの「クラス役員決め」が近づいてきました。
全てのPTAは入会も退会も自由であること、知っていますか?
そんな質問を、著作を通じて投げかけるのが、PTA取材をライフワークにするノンフィクションライター・編集者の大塚玲子さん。最新著書『さよなら、理不尽PTA! 強制をやめる! PTA改革の手引き』(辰巳出版)では、冒頭に記した「全てのPTAは入会も退会も自由」であることを実践しPTAからある程度距離を置きつつ活動に関わるケースや、「PTA」という組織自体を見直したケースなど、全国のPTAの事例を多数紹介しています。
この度、大塚さんにPTA活動の最新事情や、PTAとの正しい付き合い方についてお話しを伺いました(ただ今、絶賛PTA問題に奮闘中!という担当編集さんもご同席)。何かと理不尽な思いをしがちなPTA活動に振り回されたり、疑問を抱いたりした経験のある読者の方も少なくないのでは? 本記事を読んだことが、皆さんがPTA活動の「負の連鎖」を断ち切るきっかけとなることを願ってやみません。
PTAは日本人が放っておくと作る「ややこしい団体」の代表
——そもそも大塚さんは、なぜPTA取材に注力しようと思ったのですか?
大塚玲子さん(以下大塚):一番のきっかけは9年前にNHK『あさイチ』で、岡山県のとある小学校がPTAの活動や加入を強制ではなく希望制に変えた実例を見たことですね。私自身は、PTAに参加して特に酷い目に遭ったわけではないものの、「なぜ『必ずやる』ことになっている?」「なぜ母親(女性)ばかり?」「なぜいまだに平日日中の活動がデフォルト?」などモヤモヤすることが多くて。でもその放送を見て、「変えればいいんだ!」という気づきと嬉しさがありました。
——これまでPTAを何例取材しましたか?
大塚:『さよなら、理不尽PTA!』執筆のために直接お話を聞いたのは10~20人程度ですが、事前にアンケートを取って、その回答について「詳しく教えてください」とお願いしてメールなどでやり取りした方が30〜40人程度。あとは普段からTwitter上でPTA問題を発信している方々とやり取りをしたり、私の方で一方的に「こういう事例もあるんだ」とストックさせていただくこともあります。PTAについての記事や書籍を出すようになってからは「こういうトラブルで困っています」とメールをいただくことも増えました。これらを蓄積したら……数百例にはなりそうですね。
——大塚さんは以前、お子さんの小学校でPTAの本部役員に立候補して断られたそうですが……。
大塚:会長、副会長、どっちもダメでした(苦笑)。委員や学年長は何度もやったんですけれど。PTAって大体どこも「本部役員のなり手がいない」と常日頃言っているのに、だけど口をそろえて「立候補の人は危険だよね」と……難しい問題ですよね。PTAって本当に、日本人が放っておくと作る「ややこしい団体」の代表だな、と思うんです(笑)。PTAには「日本人が集団をつくるとやりがちなこと」が全部詰まっているような。だから「PTAが変われば日本が変わる!」という方が時々いるんですけど、私もそう思う、結構真顔でそう思ってるんです。
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