PTAの理不尽ルールに腹を立てつつも、自らそのルールに従ってしまっている面もある
——近頃はグループLINEやGoogleのアンケート機能などを導入するPTAも増えている、と『さよなら、理不尽PTA!』にも書かれていました。IT化が進んだことによって、他にも何かPTAに生じた変化はありますか?
編集:PTAの前に、学校自体がコロナ禍の影響で、デジタルツールを積極的に導入するようになったんです。それまでは出欠連絡は全て連絡帳を使っていて、欠席の日はお友達に連絡帳を持って行ってもらわなければならない学校が多かったと思うのですが、そういった学校との連絡がIT化したところが増えました。それを見て「学校がIT化したんだったら、PTAもIT化してもいいのかも?」と気づき、意識が変わったPTAも結構あったようです。
大塚:以前から文部科学省が準備を進めていたギガスクール構想(小中学生に一人1台タブレット等の端末を配布)が、コロナ禍で一斉休校になった影響で前倒しで進められたりもして。それまでは学校がIT化に及び腰で、それに倣ってデジタル化を止めていた、あるいは止められていたPTAが多かった。でも学校がやっとIT化に着手したので、PTAのIT化も進めやすくなったのでしょう。PTA活動にデジタルツールを導入することで、間接的にではありますがようやく「PTAのやり方も、実は変えてもいいんだ!」と気づけた、という効果もあったのではないでしょうか。
——コロナ禍がPTAに及ぼした影響、他にも何かありますか?
大塚:例年通りの活動をやめてみて「なんだ、平気だった」ということに皆さん気づいて、「はっ!」となっているのが今(笑)。目に見えて影響が出てくるのはもうちょっと先になるのでは、と予想しています。今後どのような影響が出てくるのか……希望的観測ではありますが、無駄なことはやめて、入りたい人が入り、やりたい人がやる、という方向に向かっていくのではないでしょうか。コロナ禍以降、Zoom等を用いてオンラインでPTAの会合を行うようになったことによって、お父さんも参加するようになったケースもよく聞きます。お父さん達が元気に空気を読まない発言をして、お母さん達が引く……といったこともあるようですが、空気を読まずに発言したっていいじゃないか! と思います(笑)。
——コロナ禍の影響でお父さん達のPTA参加が少しずつ増えているようですが、とはいえPTA活動は未だに「専業主婦デフォルト」なのは一体なぜなんでしょうか? 共働き家庭やシングル親家庭が増加しているのに……。
大塚:PTAの活動時間帯が、平日日中をデフォルトとしてきたことと関係していると思います。いまはもう地域によっては夜や土日がメインですが、都心部など、平日日中をメインにしているところもまだ多いんです。PTA活動は学校内で場所を借りて行われていることが大きな理由です。先生達も平日の日中の方が、セキュリティの管理などに都合が良いですし。となると、どうしても「(平日日中に参加できる)専業主婦が正しい」という空気になりやすい。
あとは母親たち自身が「PTAは母親の仕事」と思っているせいもあると思います。私、結婚していた時期がちょっとだけあったんですけど、そのときに怒りながら料理をしていて、元夫に呆れられたことがあったんですね(笑)。私の場合、別に「料理しろ」と言われていたわけではなく、勝手に料理して「なんで私ばかり!?」と怒っていたので、それって周りからしたら迷惑じゃないですか(笑)、PTAにもそういう側面があると思うんです。お母さん達は「なんで私達ばっかりPTAやってるの?」と怒っているけど、先生達は内心「やらなくていいよ」と思っていることも多いし、お父さん達も「断ればいいじゃん」と思っている。でもお母さんたち自身が、やめられないでいる。それって、かつて怒りながら料理していた私とある意味一緒だな、と思うんです。PTAの理不尽なルールに腹が立つのは当然ですが、自らそのルールに従ってしまっている面があることにも、気付いてほしいと思います。
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