「PTAは何をするものなのか」を見直さなければならない時期に来ているのかもしれない


——近頃はコミュニティスクール(学校運営協議会)や地域学校協働活動、学校サポーターなど、PTAという形以外の活動スタイルも少しずつ増えていますが、このような動向についてはどう思われますか?

 

大塚:そろそろ、「PTAは何をするものなのか」を見直さなければならない時期に来ているのかもしれません。保護者同士や、保護者と教職員のつながりは何かしらあった方が良いと思いますが、それはPTAじゃなくてもいいかもしれない。保護者同士、または保護者と教職員で意見交換できるような場や枠組み、それさえ提供できれば、形はなんでもいいのではないでしょうか。正直に言うと「PTA(Parents〈親〉Teacher〈先生〉 Association〈組織〉の略)」という名前も離れて、新しい名称にした方が使い勝手が良さそうな気もします。「PTA、1回無くしたら、もう保護者のつながりはできないよ」という慎重派な方も結構いらっしゃって、それも可能性ゼロでなく、一理あるとは思うのですが、「PTA」という名前をつけている限り、なんかこう、すごい吸引力があるので……強制のお手伝い組織に逆戻りしてしまいそうな懸念もあります。PTAにまつわる諸問題って、白か黒かきっちり割り切れないことがすごく多くて、なんだかスキッとしたことを言えなくてすみません。でもそういう部分が面白かったりもして、だから私も取材を続けているんだと思います。

「PTAは入会も退会も自由」なのに強制参加、母親が多く平日昼の活動なのはなぜ?_img3

『さよなら、理不尽PTA!』巻頭書き下ろし漫画より


——最後に、PTAに関わっている読者の皆さんや、この春から初めてPTAを関わる予定の読者の皆さんに、激励のメッセージをお願いします。

編集:PTA会長にならないとPTAは変えられない、なんてことはありません。積極的なアクションを起こす勇気がなくても、例えば役員を決めるにあたり「無記名で推薦してください」と書いてあっても誰も推薦しないとか、アンケートにおかしいと思ったことを書くとか。あとは、もし自分以外の誰かが「それ、おかしいんじゃないですか」と声を上げたときに、その人を白い目で見るのではなく、「そうだよね、私もそう思ってた」と賛同するとか。そういった、少しの勇気を持ってほしい。一人の強い人が言い出しただけだとなかなか変わらなくて、その他大勢の人が一緒に、ちょっとずつ変わっていかないと、PTAを変えるのはなかなか難しいと思うので。積極的な方法ではなくても良いから、勇気を持ってアクションを起こしてほしいですね。

大塚:こう言うと反発もあるでしょうけど、PTAってやっぱり少なからず、我々保護者、特に母親たちが、勝手にやっている部分もあって。「もっと手放そうよ! 怖くないから」とお伝えしたいです。実際、PTAを退会したり変えようとしたりしたことによって「じゃあ、お子さんに運動会の記念品をあげません」などと言われてしまうこともまあまああるのですが、でも言われないことのほうがたぶん多いので(笑)、我慢するのは止めましょう。お父さん達にも(PTAを)他人事だとは思ってほしくないです。どんどん妻の代わりに参加したり、参加を断ったり、してほしいですね。

 

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「PTAは入会も退会も自由」なのに強制参加、母親が多く平日昼の活動なのはなぜ?_img4

『さよなら、理不尽PTA! 強制をやめる! PTA改革の手引き』
大塚玲子:著 おぐらなおみ:巻頭漫画
(辰巳出版)

繰り返される悲劇……!! 多くの親を悩ませてきた「PTA問題」を本気で解決するためのノウハウがこの一冊に。法にすら触れかねない「理不尽PTA」の問題点を指摘し、役員/一般会員/非会員としてPTAを変える方法をPTA問題のスペシャリストが提言します。いい加減、負の連鎖を断ち切りましょう!


取材・文/露木桃子