とある「きわめて日本的な普通の企業」が、セルフ・キャリアドックの導入に踏み切るまでを取材している今回の企画。
前編では、社員数1000名規模の会社で人事を担当する湯浅さん(仮名)に、社内で感じている課題についてお話を伺いました。
後編となる今回は、セルフ・キャリアドック導入担当のキャリアコンサルタントと、実際に面談を実施。前回の取材で「うちの会社では無理かも……」と思うほどさまざまな課題が出てきた企業で、果たして解決の糸口は見つかるのでしょうか?
・時間をかけてセルフ・キャリアドックの導入準備を進めましょう
・現場社員の理解を得るコツは、研修の一環でプレ導入すること
・最難関の経営層も、プロと一緒なら乗り越えられる
・高い壁だからこそ、プロの力を借りて
安心感しかない!プロが伴走する導入フロー
今回、セルフ・キャリアドックの導入について相談したのは、キャリアコンサルタントの松本さん(仮名、以下「CC松本」)。
湯浅さんはまず、前編に書いたような、忙しすぎてキャリア形成支援にまで手が回らない状況や部下の自我を芽生えさせたくないと思っている経営層の存在など、社内のさまざまな課題をお話した上で、セルフ・キャリアドックの導入も検討したいことを伝えました。
CC松本:なるほど……それは大変でしたね。湯浅さんはすでにご存じかもしれないのですが、定期的に社員一人ひとりが自分自身のキャリアを振り返り、自己理解を深めることにより、自分自身の価値観や軸を見出すことができます。また、目指すべき方向性が見えてくることで、意識や行動が変わり、一人ひとりの行動が変われば、企業にとっても人材定着や組織の活性化などにメリットが出てきます。
国としても、将来の予測が不可能な時代に備えて、働く個人一人ひとりが主体的にキャリア形成をしていってほしい。という課題を掲げるとともに、その支援をしていくための計画を立てています。その施策の一つが、セルフ・キャリアドックの導入支援です。
湯浅:でも、課題が山積みな上に、キャリアへの意識も低いうちの会社じゃ、正直セルフ・キャリアドックの導入は難しいなと感じています……
CC松本:大丈夫です。実際の導入にあたっては、私たちキャリアコンサルタントが社内の課題把握から実施目的の明確化、社内承認、試行導入までをサポートしていきます。
導入フローとしては、まずは面談を通じて、社内の課題やニーズの把握、実施目的の明確化を行います。その後、社内承認と決裁をいただけるよう、私たちも皆さんと一緒に戦略を練りながら動いていきます。
湯浅:社内承認を得るところまで、サポートしてくれるんですね! うちの会社は「キャリア」に理解のある人が少ないので、本当にありがたいです。
時間をかけてセルフ・キャリアドックの導入準備を進めましょう
松本さんによれば、多くの企業で社内承認を得るのに苦労するのだそう。しかし、この社内承認はセルフ・キャリアドックの導入にあたって、一番大切なフローです。経営者が理解してくれないことには本格的な制度づくりも前に進まないため、セルフ・キャリアドックの導入サポートでも、社内理解を得る部分に時間をかけているといいます。
最初の面談から社内承認までには通常3か月ほどかかりますが、社内承認を慎重に進めたい企業の場合は、およそ6か月~1年の時間をかけて、じっくりと導入準備を進める企業もあるのだそうです。
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