キム・カーダシアンが手がけるアンダーウェアブランド「SKIMS」。昨年11月にはFENDIとのコラボコレクションが発売開始後わずか1分で完売し、約1億1000万円を売り上げました。そんな人気ブランドが、新キャンペーン「Icons」をスタート。元ヴィクシー・エンジェルの4人が起用された広告をインスタグラムで公開しました。
広告のキャンペーンモデルとして同ブランドのベストセラーアイテム「Fits Everybody」を纏うのは、タイラ・バンクス(48)、ハイディ・クルム(48)、アレッサンドラ・アンブロジオ(40)、キャンディス・スワンポール(33)。ヴィクトリアズ・シークレットが1997年に契約を結んだ史上初の黒人モデルであるタイラに、2017年に上海のショーでヴィクシー・エンジェルを卒業したアレッサンドラなど、全員が元ヴィクシー・エンジェルの中でも伝説級のモデルたち。
個人的には、キャンディス以外は全員Over40という年齢に感慨を覚えました。ランジェリーブランドとして一時代を築いたヴィクシーでは、以前はバービー人形のように完璧なボディを持ったモデルのみが求められ、40歳前に引退する、というのが暗黙の了解でしたものね。
そしてこの「Icons」コレクションは、サイズもほとんどのアイテムがボトムはXXSから4XL、ブラは32Aから44Dまでが揃い、どんなスキンカラーにも合うよう、9色のカラーバリエーションを用意。なので一見、キムが提言する「あらゆるボディの女性を勇気づける」という、ダイバーシティのコンセプトに沿っているように見えるのですが。
インスタグラムのコメント欄では、モデルたちを称賛する声に紛れて、「誰にでも似合うと謳っておきながら、痩せているスーパーモデルを起用するなんて理解できないわ」、「プラスサイズモデルも入れるべき」などと、「真の多様化ではない」と批判するコメントも。
ボディに対する美しさの多様性については、以前この連載でヴィクシーのショーについて取り上げたときも様々な意見をいただきましたし、とても複雑で難しい問題だと思います。広告の写真を見る限り、ほっそりしたキャンディスがいるかと思えば肉感的ボディのタイラもいて、画一的な美の基準を押し付けられているように私には感じられなかったのですが、そうでない人もいる、ということですよね。
もちろん、どんなメッセージを感じるかは人それぞれ自由ですし、今回はそもそものブランドコンセプトがダイバーシティだったためにここまで炎上しているのでしょうが。
この一件を通じて、美しさにせよ何にせよ、本当の意味で「多様性を認めて受け入れる」って、口で言うほど簡単なものではなく、きっとまだまだ時間がかかる、難しい問題なんだろうなと、改めて思ったのでした。まあそれは、一緒に暮らすたったひとりのパートナーとの生活習慣でさえ(靴下の干し方だったりゴミの捨て方だったり)、些細な違いを認めて譲り合うのがときに困難を極めることを考えれば、当然のことなのかもしれませんね。
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