「オミクロンXE」は、なぜ「XE」なの?


山田 そうですね。このXEはまず、「デルタ」や「オミクロン」と違い、名前にギリシャ文字が与えられていないということがポイントです。そして、ある日突然XEになったわけではなく、命名としてはまずXA、XB、XC……という種類が出てきてからの、XEなんですよ。

 

碓氷 知らなかった。そうなんですね!

山田 これまでのXAやXBというのは、いずれもオミクロンのハイブリッドです。ハイブリッドの型がちょっとずつ違うので、XAとかXBとかっていう名前が付けられていて、その流れでXEなのです。
ちなみに今回のXEは、過去にステルスオミクロンと呼ばれてきたBA.2を基本骨格に、一部 BA.1の遺伝情報が混じり込んだもの。
BA.2と本当に似ている双子のような感じのウイルスなのですが、そこにBA.1のほくろを獲得した…そんなイメージのウイルスですね。

碓氷 XA、XB、XCなんてあったのですね……。でも、なぜこんなに沢山のハイブリッドが生まれてきてしまうのでしょうか?

山田 今は世界中でデルタ、オミクロン(BA.1、BA.2)などのウイルスが共存している状態です。こうして複数の種類が共存して世界にいると、全く同じ人に同時にBA.1とBA.2が感染する、ということが起こり得るのですね。
そして同じ人がBA.1とBA.2に同時に感染すると、その同じ人の体の中で2種類のウイルスが共存することになり、このウイルスたちが遺伝情報の交換をします。それによって、そのBA.2が元となり、BA.1の遺伝子をちょっと獲得した、ハイブリッドなウイルスが誕生する……という仕組みなのです。

碓氷 同じ人が、2種類のコロナウイルスに感染することがあるわけですね。

山田 そうですね。逆に言えば、ウイルスのハイブリットの誕生は、2種類のコロナウイルスに同時に感染することがある、という証拠でもあるのですよね。

碓氷 感染の頻度も多いので、こんなに沢山の種類のウイルスが出てくる、ということなんですね……。

山田 そういうことです。

碓氷 それにしても、なぜ今までXAやXBは話題にならず、急にXEが話題になったのでしょうか?