『死刑にいたる病』(2022年5月6日公開)
作家・櫛木理宇の最高傑作を、『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』の白石和彌監督が映画化。
大学生の雅也(岡田健史)の元に届いたのは、24人を殺害した連続殺人事件の犯人・榛村(阿部サダヲ)からの手紙だった。榛村は雅也が中学生のとき、地元でパン屋を営んでいた人物で、当時雅也に優しくしてくれた。「罪は認めるが、最後の事件はえん罪だ。犯人は他にいることを証明してほしい」という榛村の願いを聞き入れ、事件を独自に調べ始める雅也がたどり着く真実とは……? というストーリー。
映画を観る前にあらすじだけ読み「冤罪だとしても、なぜ少なくとも23人を殺した人物と交流したり、協力したりするのだろう?」と疑問に思いました。でも実際に映画を観ると「人当たりが良く、みんなに好かれていた」榛村を好きになる気持ちがわかってしまうのです。雅也とともに、観客も榛村に呑まれてしまうというか、なかなか味わえない不思議な感覚でした。彼がどれだけひどいことをしたかもわかっているのに、ある種信頼したい気持ちにすらなってしまうという。
榛村を演じる阿部サダヲさんの真っ黒な目と白い歯の対比がより恐怖を誘います。こんな風に感じのいい人がこんなに残虐な連続殺人を行うなんて、怖すぎる……。岡田健史さんの前半と後半の変化にも注目です。また髪の長い謎の男を演じる岩田剛典さんも、しばらく経つまで彼とわからなかったほど印象が違います。
大変面白く、ぜひ劇場でこの感覚を味わってほしいのですが、残虐なシーンはかなりえげつないので、苦手な方はご注意ください(私は何度か下を向いてしまいました)。
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