都心で年々過熱する中学受験。「コロナ禍の影響で、リーマンショック後のように、徐々に下火になるのではないか?」という当初の予想を覆し、受験人口は増加傾向、さらには「課金レース」というワードも聞こえてきます。

中学受験には「お金がかかる」というイメージがありますが、どんなものにいくらお金がかかるのか、当事者以外には今ひとつピンとこないもの。

そこで今回は、マネーの専門家から、中学受験にかかわるお金の全貌と、家計に対して中学受験に出せるお金についてどのように考えたらよいかについてお伝えします。

【マネーの専門家が見た教育費】高額化する中学受験費用、家計に占める割合はどこまでOK? _img0
 
 


中学受験全体では、どんな費用がかかる?


中学受験をしようと思ったら、真っ先に思い浮かぶのが「塾代」ですね。実際は、それ以外にもいろいろな費用が上乗せされていきます。代表的なものをピックアップしてみましょう。

1)塾代
大手塾の場合、「新小4」と呼ばれる3年生の2月から3年間通うのが一般的です。しかし最近では小学校低学年からコースが用意されている塾も多く、「早めに塾に慣れ、勉強習慣を身につけたい」「入塾希望者が多く、低学年のうちに入らないと満員になってしまう」といった理由により、低学年から通うケースも。授業は学年が上がるにつれて、コマ数も増えていき、その分授業料も上がっていくのが一般的です。

塾にもよりますが、通常授業料はテストやテキスト代を含めて、小学校低学年なら年間20~30万円ほど、新小4~小5は年間40~60万円ほど、小6は年間60万円~70万円ほど(別途必要になる各種講習等は後述)かかるのが一般的です。
 

2)交通費
徒歩で行ける場合はよいですが、バスや電車を使う場合や、夜遅い時間になって保護者が車で迎えにいくケースもあります。1回あたりはわずかでも、3年間以上通うとなると、意外にかさみます。

仮に往復で200円だとすると、200円×週3回×4週間×12か月×3年間=8万6400円です。
 

3)季節講習代、志望校別対策コース代
夏休み、冬休み、春休みといった長期休みの期間の季節講習や、小6の受験直前期になると志望校別対策コースを受講する場合もあり、さらに上乗せになります。塾にもよりますし、何をどこまで選ぶかにもよりますが、小4~小5で年間10万円~20万円、小6で年間70万円~80万円など、まとまったお金が必要です。
 

4)個別塾や家庭教師などの費用
「どうしても苦手な科目がある」「宿題やテストの直しを見てほしい」「志望校対策をしたい」という場合に、通常の塾とは別に、個別塾や家庭教師などで対策をするケースもあります。
個別対応になるため、集団塾よりも費用がかかりがちで、1時間あたり2000円~1万円超くらいが一般的です。
 

5)過去問題集や個別の問題集
弱点を補強したり、小6の後半になると志望校の過去問題を解いたりといった、塾とは別の費用も追加になります。

過去問題集の場合、1校あたり2500円ほど。東京在住の場合でも、1月に行われる埼玉や千葉の学校を受けることが多く、もし8校の過去問を購入すれば約2500円×8冊=約2万円です。
 

6)受験料
私立校の受験料は、1回あたり2万5000円ほどが一般的です。6校受験なら15万円、8校なら20万円にものぼります。
 

7)入学金
第一志望校の結果がわかる前に、すでに合格した併願校の入学金振込締め切り日が迫るケースもあります。入学金として、第一志望校とあわせて10~30万円ほどを2回、振り込むこともあります。