家計の何割くらい「中学受験費用」を出してよいのか


塾代に加えて、諸費用のほか個別塾や家庭教師なども検討すると、青天井の中学受験費用。では、いったい家計の何割くらいまでなら、その費用として捻出してもいいのでしょうか。

【マネーの専門家が見た教育費】高額化する中学受験費用、家計に占める割合はどこまでOK? _img0
 

これは、各家庭で「何の費用を重視したいか」によって異なります。「とにかく中学受験にお金をかけてもいい」という家庭もあれば、「最低限におさえたい」という家庭もあるでしょう。

 

「我が家はいくらまでならよいか」という上限を先にイメージしておくことと、毎月の貯蓄は先取りで確保しておくことが大切です。

教育費のピークは決して小学生のうちではありません。中高で私立に行けば、学校によっては年間あたりの教育費が、小6の中学費用以上に増える場合もありますし、中高卒業後も私立大学で一人暮らしをしたり、6年制学部や大学院、留学を考えたりということになれば、お金は出ていく一方だからです。

まずは、中学受験の塾に通わせながらも、「手取りの1割以上は、毎月確実に貯められるか」が、見極めるポイントになるでしょう。さらに、中学受験進学後も、同じく手取りの1割以上を貯められるサイクルが大切です。

「ボーナスがあるから大丈夫だろう」と思う方もいますが、要注意です。私立中学に進学すれば、少なくても6年間、さらに私立大学への進学の可能性があれば10年間は確実に大きなお金がかかり続けます。小学生の通塾の時点で「ボーナス頼み」の家計にしていると、今後、例えば住宅ローン返済や住宅の修繕、車の買い替えに支障をきたしたり、転職や退職、勤務先の業績悪化、両親の体調不良等により予期せぬ収入減が起こった場合に学費が払えなくなったりという恐れがあります。

ボーナスは、予定外に減ったり、なくなったりする可能性もありますので、できる限り、毎月の収入の範囲で考えましょう。

手取りの1割以上の貯蓄を確保したら、残りの費用の割り振りを考えていきましょう。「中学受験費用に糸目はつけない」という方なら、中学受験の費用を第一に考え、それ以外の支出をできるだけタイトにする工夫が必要です。

一方で「中学受験費用は最低限に抑えて、他の費用(例えば食費、外食費、趣味費、洋服代など)を充実させたい」という方なら、通信教育を中心に考えたり、塾を数社リサーチしてみたりして、検討するとよいでしょう。

とはいえ、家計がスリムであれば、今後の教育費もしっかり貯められますし、他の費用にもあてることができます。いずれの場合でも固定費を中心として、無駄な支出がないかを一度確認してみて、長期的視点で見たうえで、家族がトータルで満足できるお金の使い方を探ることが大切です。