誘拐前のセレブ妻から、誘拐後の憔悴していく母へ


まずは、なんと言っても、誘拐された日のヘアスタイルですよね。これがもう、「人の心情を示すアイコンは、髪型」というセオリーのど真ん中をいく感じでした。

最初、夫に塩対応のセレブ妻として登場した未知留(多部さん)。小学校高学年の母親としてはなかなかに可愛らしい(可愛らしすぎる)、前髪ぱっつん×お団子のアイドルみたいな髪型でご登場です。

多部さんといえば、このさらさらぱっつん前髪がトレードマークなのですが、この髪型して、若作りっぽくならないの、多部ちゃんかガッキー(共に敬称略)くらいなんじゃないの、と思ったりします。

ところがこの一片の隙もない可愛いヘアスタイルが、娘の誘拐事件が発覚して時間が経つにつれて、どんどん崩れていくんですよ。

 

見て、このやつれ髪!
これ、私が個人的に「おしんの法則」と呼んでいる「老け髪」の作り方でして、ポイントは顔周りの毛をぼさぼさにして顔にはりつかせるんですよね。この毛の存在によって「おしん」のような、「生活に疲れています感」が出るわけです。

 

これ、結構応用がききまして、例えば朝ドラでよくある「戦時中の髪型」(最近では『カムカムエヴリバディ』の上白石萌音さん)とか、大河ドラマでよくある「一人の役者さんが老齢まで演じる」(『篤姫』の宮﨑あおいさん)とか、こういうときに、この「おしんの法則」髪がいい仕事をするんですよね。
(といいながら、今調べたら、篤姫は40代後半で亡くなっているのか。宮﨑さんの老けヘアメイクのおかげで、もっと高齢で亡くなったものだと思っていた)

話を戻して、多部さんです。
今回は、顔周りの毛だけではなく、後ろ姿もぐっちゃぐちゃになっていました。お団子のまま仮眠しました。娘のことが心配でほとんど寝つけませんでしたが、髪のことをかまっている暇なんてありません、という感じが、わかりやすく表現されていたと思います。