温かな言葉に癒やされると話題の産婦人科医、高尾美穂先生の新刊『大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111』(講談社)が、5月27日に発売となります。新刊から、女性の体や心の悩みに安心と解決法を与えてくれるお話をひとつご紹介します。
状況によって受け止め方が変わる
「大丈夫」という言葉
「大丈夫」という言葉は、人にそう言われたり、自分で思ったりする場合には、心がほっと安心する言葉だと思います。
でも、人から「大丈夫?」と聞かれた場合については、状況によって受け止め方が変わってきます。
以前、がんを患っている方が、「夫から『大丈夫?』と聞かれると、『大丈夫』と答 えるしかなくてつらい、もっと『どこがつらいの?』とか具体的に聞いてほしい」という思いを話してくださったことがあります。
もともと、「大丈夫」という言葉の「丈夫」は、しっかりした男の人というような意 味で、「大丈夫」は、それに「大」がついているので、めちゃめちゃしっかりした男の人というような意味です。
国語辞典では、「心配ないさま」「間違いがないさま」などと書かれています。
「大丈夫」には、幅広い意味がある
ただ、現在ではこの言葉はいろいろなシーンで使われるようになっています。
たとえば、机の下から立ち上がろうとして頭をぶつけたときに、「大丈夫?」と聞かれて、「大丈夫」と答えたりすることがありますが、これは軽い「OK」という意味ですね。このような意味で使うのも私は悪くないと思います。
ただ、自分が本当につらいときに、「大丈夫?」と聞かれると、これはとても圧が強い言葉になります。大丈夫じゃないのに、大丈夫という答えを求められている気がしてしまうからです。
この話をしてくださった方のご主人が、「大丈夫?」と聞いた気持ちを改めて考えてみると、どういう言葉なら傷つかないか迷ったり、どういう言葉をかけていいかわからなかったりと、いろんな思いが混ざり合って、とりあえず一番幅のある言葉として「大丈夫?」を選んだように思いました。
ですから、この言葉を選んだ背景にどんな思いがあるかを想像してみてほしいですが、病気などで自分がいっぱいいっぱいのときは、それは難しいことかもしれません。
そんなときは、「大丈夫じゃない」とはっきり伝えるのが一番だと私は思います。
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