アメリカの児童保護の最前線をレポート

 

戦争に事故、災害、殺人──日々痛ましいニュースが目に飛び込んできますが、そんななかでも子供の「虐待死」に心を痛めている人は多いのではないでしょうか?

 

筆者の場合は、予期せず起こる事故などとは異なり、何度か救済できるタイミングがありながらも救えなかったという事実に無力感をおぼえ、当事者でないにもかかわらず打ちひしがれてしまいます。そんなときに「児童相談所が子供を一時的に保護したのに家に帰した」なんて報道を見ると、怒りの矛先をついつい児童相談所に向けてしまうのですが、そんな無責任な行為にはいいかげん終止符を打ちたいと思います。

そのように考えるきっかけをくれたのが、アメリカの児童保護の最前線をレポートしたノンフィクション『チャイルドヘルプと歩んで 虐待児童を救い続けるアメリカ最大の民間組織に日本が学べること』でした。著者の廣川まさきさんは、アメリカ最大の民間児童救済機関「チャイルドヘルプ」で長期取材を敢行。そこで得た児童保護の最先端の技法や関係者たちの熱い思い、さらには児童保護の難しさを本書に記し、そのうえで、日本の保護現場でできることも示唆しています。

児童保護に携わる人々の優しさがしっかり伝わってきて、温かい気持ちにもなれる本書。今回はその一部をご紹介します。