インタビュアーから返ってきた意外な答え


「見ているだけでひどく疲れた。なんという赤裸々な内容だろう……」。間近でインタビューを見ていた廣川さんは、その過酷さを伝えています。

このように熾烈なやり取りのなかで子供の信頼を得ることができるのだろうかと考えた廣川さんは、その疑問をジェニファーに投げかけます。しかし、彼女からは意外な答えが返ってきました。

「私たちの仕事は、子供たちの信頼を得る仕事ではありません。フォレンジック・インタビュアーは子供から『証言』を得るのが仕事です。子供から『信頼』を得ようとは思っていないのです」

「虐待」を見逃してしまうのは、児童相談所だけのせいじゃない。児童救済の先進国で見た「保護」の実態_img0
 


「信頼」よりも「証言」を優先。日本とアメリカとの違いは?


なぜ信頼よりも「証言」を優先するのか? ジェニファーは、その理由と自分の立ち位置を廣川さんに話しました。

「児童虐待における真の救済は、被害者である子供の声に耳を傾け、証言をしっかりと得るところから始まるのです。間違いを犯した親をちゃんと罰すること。それが、傷つけられた子供たちにとって本当の救済になるのです」

「私たちは、言葉が未発達でうまく伝えられない子供たちのために、中立な立場で真実を見つけ出す、『真実見つけ屋さん(ファクトファインダー)』といったところね」

日本とアメリカの児童虐待に対する認識の違いを見せつけられた廣川さん。そんな彼女の目には、ジェニファーはこのように映っていました。

「ジェニファーは子供の未来を拓くため、優しく強く、吹く風に向かって凜と立っていた。成すべきことをはっきり知っているプロフェッショナルが、そこにいた」