「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
こんな奇妙な遺言状、興味をそそられないわけがない! 私は、原作小説を読んでいたため、“黒幕”を知ってしまっていたのですが、「もしかすると、別の人だったりして……?」とワクワクしながらドラマ版『元彼の遺言状』(フジテレビ系)を楽しんでいました。しかし、第2話にして事件はあっさりと解決。最近は、日曜劇場『マイファミリー』(TBS系)のように、“ひとつの事件を引きずらない”スタイルが流行っているのでしょうか。
本作も、第3話以降は、『元彼の遺言状』の続編小説『剣持麗子のワンナイト推理』をもとに、1話完結で物語が展開しています。「はやく、真相を知りたい!」と思わせる考察系ドラマもいいけれど、月曜日の夜には1時間でスカッとさせてくれるドラマが心地いい。ミモレ読者アンケートからも、「小気味良いテンポがいい」「時代に合っている気がする」と本作を推す声が上がっていました。
そこで今週は、『元彼の遺言状』のおすすめポイントをご紹介していきたいと思います!
原作者が、元弁護士だからこその整合性
『元彼の遺言状』の原作者・新川帆立さんは、元弁護士。2021年に、第19回『このミステリーがすごい!』大賞で大賞を受賞された時には、現役で弁護士をされていました。そのため、弁護士の世界を描くのに長けている。主人公・麗子(綾瀬はるか)は、かなり癖の強い弁護士で、わりと無茶なことを言うのですが、結果的に整合性がとれているんですよね。
この麗子の強気なキャラクターも、見ているだけで勇気をもらえます。お金への執着が人一倍強い彼女の決め言葉は、「私、お金にならない仕事はしない主義なの!」。たしかに、お金が嫌いな人はいないだろうけど、彼女のようにピシャリと言うことはできない……。忖度をせずに、自分に正直に生きている麗子は、令和的憧れヒロインと言えるのではないでしょうか。
また、新川さんは、7月クールの“月9”『競争の番人』(フジテレビ系)でも原作を担当することが決まっています。ちなみに、同じ原作者の作品を2クール連続で放送するのはフジテレビ史上初。今度は、公正取引委員会を舞台に物語が展開していきます。坂口健太郎さんと杏さんが凸凹バディとなり、企業の隠された闇を暴いていくなんて、面白いこと間違いなし! 『元彼の遺言状』が終わりに近づいているので、“ロス”が怖いけれど、次クールにも楽しみが待っていると思うと、乗り越えられそうです。
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