こんにちは、ブランディングディレクターの行方ひさこです。

ものぐさなわたしの日々のこと、身の周りにある「もの」や「もの」との付き合い方などゆるゆると綴って参ります。

だい6回目となる今回は、去年出逢った兵庫県の丹波篠山について。

これは、先月訪れた時のもの。「のりたま農園」のりさんが、鑑賞用にと1列だけ残した菜の花たちと。

ここ5年くらい、近いうちに2-3拠点生活をしたいと考えていたので、東京以外にも住みたいと感じる場所を探しながらあちこち旅をしていました。

 

さまざまな場所を訪れているうちに、文化度が高く友人の多い京都や奈良、海と山に恵まれた唐津など、数カ所に候補が絞られていき、何度か足を運んでは、その土地での暮らしに思いを巡らせていました。

コロナで移動の自由がままならなくなり、こんな時期だからこそ数拠点生活を決行したいところだったのですが、焦って失敗したくないのと実家の祖母が94歳と高齢なので(私は専属運転手なのでw)一旦保留に。

昔の街並みが残る、美しい城下町の夜。

そんな時に出逢い、衝撃を受けたのが丹波篠山。

はじめて丹波篠山を訪れたのは、観光庁のお仕事でした。13年もの間、丹波篠山の街創生に携わっている、丹波篠山の魅力を知り尽くした方にアテンドいただき、農家さんから陶芸家やアーティストの方々のところなど、個人旅行ではなかなか行かれないところに連れて行っていただいて、本当にラッキーだったと思います。

丹波篠山といえばノスタルジックな城下町と美しい自然、そしてそこから生まれる美味しい農作物のイメージでしたが、すぐにそのイメージは覆されました。それだけじゃなかった!

衝撃を受けすぎて、はじめて訪れてから次に訪れるまで1ヶ月とあけず、2021年は仕事での取材も含めて6回も足を運びました。「また、来ますねー!」と言ったからには、この気持ちをちゃんと表現したくて、できる限りそうするようにしています。

そこで、何が衝撃だったかというと、

大人の正しい遊び方を心得て、人生を楽しんでいる人がたくさんいること。

そして、センスが良い人が多すぎる! ってこと。

4月14日に全国で発売された『丹波篠山 TRAVELOGUE』
表紙の作品「篠山―Atmosphere」


激しく衝撃を受けたのは、美術家 福田匠さんのアトリエ。

さまざまなご縁が重なって、4月に全国発売になった『丹波篠山 TRAVELOGUE』では、陶芸家 柴田雅章さんをはじめとした数カ所を取材させていただき、拙い文章ながらも寄稿させていただきました。

この素敵な表紙は丹波篠山を拠点に活動している美術家福田匠さんによる描き下ろし。書籍の中に福田さんのインタビューも掲載されているので、アトリエの写真と共に、ぜひご覧いただきたい!

福田さんのアトリエの一部。きちんと整理整頓された室内に明るい光が目一杯差し込み、心地の良い空間でした。

なんの前情報もなしに連れていかれたので、蔵を改築したちょっとした美術館かギャラリーかと思った福田さんのアトリエ兼ご自宅。穏やかな丘の上という場所やエントランスからしても、ご自宅だなんて想像もできないような素敵すぎる佇まいなのです。

フランス製のアンティークの扉に始まり、弥生や古墳、平安時代の壺などと共にご自身の作品たちも並ぶ潔くミニマルな空間は、ヨーロッパのアーティストのアトリエにいるような錯覚に陥ります。

丹ゆうギャラリーのエントランス。庭はまだ未完成で、これからご自分で作っていくそう。

そんな福田さんが最近オープンしたのが、ギャラリー「丹ゆう」

アトリエ兼ご自宅とはまた180度違った和の雰囲気ですが、これもまた本当に素敵なのです。日常の中での美意識を表現する場所として造ったというこの場所で、福田さんの作品と、日本をはじめとしたヨーロッパからセレクトされた古物も鑑賞できます。

自我を捨て、土と向き合って土の声を聞いて創り上げるという雅彦さんの作品たちはダイナミックで、でも繊細でグッと心に迫ってきます。
 
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