「楽しみ」を持っていることが大きな自信に


──健康維持という意味では、運動もなさっていますよね。ズンバのレッスンに通われているとか。

そうなんです。これまでの人生で、今が一番運動していると思います。身体を動かすのは純粋に楽しいですよね。筋トレを試したこともあるのですが、こちらは考えごとをする余裕があって、完全にリフレッシュできなかったんですね。でも、ズンバのようなダンスフィットネスは、考えごとなんてしている場合じゃない。隣の人にぶつかってしまいますから(笑)。なにも考えない分、心のデトックスができている気がします。

──ダンスフィットネスを始めたことで、ご自身のなかで変化はありましたか?

心から打ち込める「楽しみ」を持っていることが、私には大きな自信になりました。年齢を重ねて、ひとりになってみるとこの自信のあるなしが大きく影響してくると思います。自己肯定感を高く保つのに必要な要素かもしれませんね。私の場合はダンスと俳句ですが、楽器でも、写真でも、パッチワークでも。それこそメイクでも。なんでもいいので楽しみを持つことが大事だと思います。

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岸本さんがダンスの際に着用しているウェア


BTSにハマる人が増えているのはわかる気がする


──最近だとBTSをはじめとするK-POPアイドル、一昔前だとヨン様のような韓流スターにハマった中高年女性が印象的ですが、みなさん、すごく生き生きしていますよね。

実はズンバのレッスンでもK-POPを流すことがあって、BTSの動画を見ながら彼らのダンスコピーに挑戦したことがあるんです。結局は挫折してしまったんですが(笑)。ただ、BTSにハマる人が増えているのはわかる気がします。彼らの動きには、人をワクワクさせるものがありますよね。

 


──これから60代を迎える方々に伝えておきたいことはありますか?

今は仕事や家事、子育てで忙しくされている方も、年を重ねるにつれてひとりで過ごす時間が増えてくると思います。そんなときに心の支えになるのは「楽しみ」を持つこと。そのことをまずはお伝えしたいですね。ですから、少しでも楽しいと思えるものに出会えたら、心を閉ざさないでほしいです。「楽しみ」が自分を支えることを念頭に置いて、素直な好奇心を持って向き合っていただきたいと思います。
 

インタビューの後編は6月8日公開予定です。

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『60歳、ひとりを楽しむ準備 人生を大切に生きる53のヒント』
著者:岸本葉子 講談社 902円(税込)

NHK「ラジオ深夜便」の「暮らしと俳句」コーナーでもおなじみの岸本葉子さんが、旅や俳句、美容、トレーニングなどを通して感じた「60歳からの人生を豊かに生きるための秘訣」を語り尽くします。エッセイストならではの客観性を保ちつつも、友人の話を聞いているような親近感のある視点が魅力。「〇〇すべき」「〇〇しなければ」といった語気が強い人生指南本とは一線を画す、肩の力を抜いて読めるエッセイ集です。


取材・文/さくま健太
 

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