「もう年だからセックスは無理」と考えなくていい

 

これは数々の研究で明かされていることですが、これまでは社会的文化的な背景から、「年なんだからセックスは無理!」「高齢者はセックスなんて関心がないはず」と高齢者の性については、ネガティブなイメージが植え付けられていました。

さらに高齢者自身も、自分が性欲を感じたりセックスをすることを「いやらしい」「汚らわしい」と自らの性をタブー視する価値観を内在化していました。

しかし今、私たちが生きているのは人生100年時代。残りの長い人生を3大欲求のひとつである性欲を封印したまま過ごすのは、なんとも味気ないものです。

学術研究でも「高齢者でも適度に健康で、関心のあるパートナーがいれば、性的関係を楽しめる」「性に関心を持ち続けることは自然なこと。自分自身がもっと適切に受け止める必要がある」(Scura & Whipple,1995)と述べられているように、私たちは「セックス」そのものについて、価値観を改める時期に来ているのです。

 


著者プロフィール
富永喜代(とみなが・きよ)さん

富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会指導医。1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人超の臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。全国から患者が集まり、のべ23万5000人の痛みを治療し、性交痛外来では5000人のセックスの悩みをオンライン診断する。YouTube「女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室」は総再生回数3200万回、チャンネル登録者数17万人、TikTokフォロワー5.5万人。Facebookは年間1300万人にリーチする。

『女医が教える性のトリセツ』
著者:富永喜代 KADOKAWA 1430円(税込)

自身のクリニックで「性交痛外来」を開設し、痛みの専門医でもある著者が、性にまつわる痛み・悩みに応える本書。加齢によるホルモン変化、更年期を和らげる方法、痛み・ニオイ・セックスレスの処方箋、自宅でできるデリケートケアなど、中高年が性生活を諦めないためのTIPSが盛りだくさん。人には言えない“性交痛”に潜む痛みの種類、婦人科系の病気が疑われるケースも紹介されており、パートナーだけでなく、年齢を重ねた自分の体と向き合うための情報も心強い。医学的論拠をもって教えてくれる、性生活が充実するテクニックも満載!



挿絵/はらまこと
構成/金澤英恵