更年期世代になると、カラダの不調があっても「更年期だから」と一括りにしてしまいがち。ホットフラッシュやめまいなどの体調不良は友人に話せても、尿もれやフェムゾーンの違和感は、誰かに共有することを躊躇してしまう人も多いのでは?

そんな人には言えない女性特有のお悩みを解決してくれるのが「ウロギネ科」。症状がある人も、まだ症状がない人も、いざというときのためにぜひ知っておいて損はない「ウロギネ科」について専門家の先生に伺いました。

 


40〜50代の相談で多いのは尿漏れ、頻尿、膣の違和感

亀田総合病院 ウロギネ科部長・ウロギネコロジーセンター長
野村昌良先生

ウロギネとは、Urology(ウロロジー/泌尿器科)とGynecology(ギネコロジー/婦人科)を合わせた造語「ウロギネコロジー」の略称。日本でまだあまり馴染みがありませんが、欧米では古くからメジャーな診療科です。

2007年にウロギネセンターを開設した亀田総合病院ウロギネ科部長・ウロギネコロジーセンター長の野村昌良先生によると、「患者の95%は40代以上。頻尿、尿もれ、臓器の下垂感、腟(デリケートゾーン)の違和感、不快感、かゆみ、ヒリヒリ感、腟の緩み、性交時痛…など、女性のデリケートゾーンの悩みすべてに対応するのがウロギネ科です」とのこと。

なかでも40~50代の相談で多いのは、尿もれ(尿失禁)や頻尿、膣の違和感だといいます。

「これらは加齢によるものなので、放っておいて良くなることはありません。症状が良くなったり、悪くなったりしながら続いていきます」(野村先生)

尿もれは、その名の通り、尿が漏れること。

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尿もれ症状のある人の約9割は、咳やくしゃみなどで漏れてしまう「腹圧性尿失禁」。

自然と良くなることはなく、放置すると徐々に悪くなっていきますが、薬はありません。そのため、まずは骨盤底筋トレーニングや体幹を鍛えることから始めるのがいいでしょう。最近は、ゆるんだ尿道を支えるカラダに優しい手術が開発されたので、手術する人も増えているようです。

 


カラダから何かが飛び出てる!? 意外に多い骨盤臓器脱


もう1つ、ウロギネ科の領域で、尿もれと同様に大きなテーマといえるのが「骨盤臓器脱」。骨盤臓器とは骨盤底筋に支えられている子宮、膀胱、直腸のことで、それらが膣から出てきてしまう症状のことを指します。

お風呂に入っているときに、いきなりピンポン球のようなものが出てきてびっくり! なんてことも。

さすがに、そんなこと自分には起こらない! と思っている人も要注意。

野村先生の病院では、ウロギネ科を受診する患者さんの約40%が骨盤臓器脱(臓器下垂や下垂感を含む)と、ウロギネの病気の中では排尿トラブルとともに、もっとも多い悩みだといいます。

「骨盤臓器脱は、出産が引き金になることが多く、骨盤底筋がゆるんでいる人や太っている人、喘息のある方、立ち仕事や介護をしている人など、日常的に骨盤底筋へ負荷がかかる人がなりやすい病気です」(野村先生)

そう、更年期以降にじわじわと迫りくるのです。

 
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