雨が降ると頭痛が起こる、昔怪我をした古傷が痛む……。そんな天気の影響を受ける「気象病」。気象病研究の第一人者で天気痛ドクターの佐藤純先生は、ストレスフルなコロナ禍、変化する地球環境が気象病に影響すると言及しています。ストレスや地球環境は、私たちにどんな影響を及ぼす可能性があるのでしょうか?

〈監修〉佐藤 純 Jun Sato

天気痛ドクター・医学博士。愛知医科大学客員教授。中部大学生命健康科学研究科教授。パスカル・ユニバース(株)CEO。名古屋大学環境医学研究所、名古屋大学教授を経て、愛知医科大学病院で日本初の「気象病外来・天気痛外来」を開設。東京竹橋クリニックでも気象病・天気痛外来医として診療を手掛ける。NHK「ためしてガッテン」「あさイチ」、日本テレビ「世界一受けたい授業」などテレビでも活躍。株式会社ウェザーニューズと共同開発した「天気痛予報」を2020年にリリースした。『「雨ダルさん」の本』(文響社)、『ビジネスパーソンのための低気圧不調に打ち勝つ12の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数。

 


佐藤先生が気象病の専門家として、コロナ禍で心配なことはありますか?

自律神経の脆弱化により、気象病になる人が増えるのではないかと考えています。

 

主に、気圧が身体の自律神経に作用することで痛みを引き起こしている「気象病」。このコロナ禍では、誰もが過剰なストレスを抱えて生活していると思います。運動する機会が減ることで、自律神経はますます脆弱化する危険に晒されていると言えます。そんな中でも、気候変動は進む一方ですから、気象病の方にとってはつらい状況が続きそうです。

在宅ワークになったことで自由に使える時間が増えた方は、ぜひご自身の生活改善に目を向けてみてください。健康のために有効なことを今からするか、しないかによって、来年や再来年の健康が変わってくると思うからです。もちろん、今までにない痛みや不調を感じる場合は看過せず、なるべく早めに病院を受診するようにしましょう。


地球環境の変化は気象病にも影響しますか?
影響する。一年中不調が続くという人も増えるかもしれません。

健康と自然、病気と自然は必ずリンクしていますから、それを無視した医療は成り立つことはありません。
これからは、熱波や大雨のような異常気象はますます厳しくなるはずです。加えて、昔は遠くの海で発生していた台風が、今は「日本の南の海上」など、日本列島のすぐ近くで発生することが多くなりました。台風ができるとすぐに強力になり、いきなり日本列島に襲いかかるので、「身体と心を備えるための時間」もどんどん短くなっています。地球温暖化の影響で、日本の四季の移り変わりも曖昧になり、実際、急に暑くなったかと思えば、急に寒くなる気候に変わってきていますよね。

私たちの身体は急速な環境変化になかなかついていけませんので、気候変化の影響を受けて「一年中調子が悪い」という症状を訴える方や、気象病を新たに自覚する患者さんは、これからもっと増えていくのではと個人的には考えています。


取材・文/金澤英恵
イラスト/徳丸ゆう
構成/山崎 恵