アメリカへの入国の制限が少しずつ緩和され、久しぶりにニューヨークに行ってきました。
ブロードウェイはすっかり活気を取り戻し、マスクの着用とワクチン接種証明書の提出が義務付けられていること、コロナ禍で痛手を追った劇場が募金を募っていること以外は、ほぼ以前のまま。
証明書を忘れてホテルにダッシュしたりしつつ、私も観劇を楽しんできました。今回は先日発表になった第75回トニー賞で話題になった作品を中心に紹介したいと思います。
まずはミュージカル部門で主演男優賞などにノミネートされた『ザ・ミュージックマン』。田舎町を舞台に、音楽の教授だと名乗る詐欺師のハロルドがピアノ教師に恋をする物語です。
マーチングバンドに合わせて歌って踊るヒュー・ジャックマンを見ながら、スクリーンで引き立つ人は生の舞台の上でもものすごいエネルギーを発するんだな、と感じました。
『レ・ミゼラブル』『グレイテスト・ショーマン』などミュージカル映画でも実力を発揮していますが、きっとブロードウェイの舞台を心から愛しているんでしょうね。
お金やキャリアのためだけではなく、自分が挑戦したいことに挑戦している人の輝きが感じられた舞台です。
『MJ』はマイケル・ジャクソンの人生を題材にしたミュージカル。主演のマイルズ・フロストがブロードウェイ初舞台で主演男優賞を受賞したことも話題を呼びました。
クオリティの高いパフォーマンスが楽しめるミュージカルなのですが、個人的にはまだマイケル・ジャクソン本人の記憶が鮮明すぎて、あと数年後に観たほうが楽しめたかも……、と思ってしまったのも正直なところ。
マイケルのヒット曲が揃っているので、ファンの方は間違いなく楽しめると思います。
ヘンリー8世の6人の妻たちが現代に蘇ってガールズバンドを組むというユニークなミュージカルが『SIX』。
作品賞などにノミネートされましたが、ロックのライブのようなパワフルな作品で、アフリカ系アメリカ人、アジア人がキャストに含まれていることからも、ブロードウェイの多様化が伝わってきました。
もちろん大好きな『CHICAGO』も鑑賞。
年齢の離れた女優さんと共演しても輝きを放つアムラ(=フェイ・ライト)はやっぱりすごい! と改めて刺激を受けました。
今回、元プレイメイトで女優のパメラ・アンダーソンがロキシーを演じた『CHICAGO』も観ることができたのですが、彼女のセリフ回しや動きなどから、とても緊張しているのが伝わってきました。それでも彼女のファンたちからは温かい拍手が。自分が10年前に初めてこの舞台を踏んだときのことを昨日のことのように思い出し、観ている私まで緊張しました。
今、セントルイスの劇場では宮本亜門さんの演出で『カラテ・キッド』が上演されています。前回、私が『CHICAGO』の公演をしていた頃にリーディングリハーサルをのぞかせていただいたミュージカルで、地方でのトライアウト公演からブロードウェイへの進出を目指していると聞いています。
同じ日本人として、亜門さんにはぜひブロードウェイの切符を手にしてほしい。そしてその舞台を拝見できる日を、心待ちにしています!
構成/片岡千晶(編集部)
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