青天の空を見あげ、離婚を切り出す
いつしか季節は夏が終わり、秋が近づいて気持ちのよい青天が続く過ごしやすい季節となっていました。しかしその当時は、自分の心と正反対に澄みきった青空が忌々しく、上を見あげることができず、いつも下を向いていました。
そんな日々が続いたある朝、きっかけは突然訪れました。いつもより早く目が覚め、珍しく空を見あげたところ、雲ひとつない青天の空から「今日だ!!」という声が聞こえてきたのです。ちょっと不思議なお話に感じるかもしれませんが、その声はとても鮮明で、わたしの心に深く響きました。そして、この声を信じようと思ったのです。
その日、わたしはいつか向き合おうと思いながらも向き合えずにいた「離婚」を夫に切り出すことにしたのです。なかなか一筋縄ではいかない状況だったため、友人や家族の協力のもと、話し合いをすることになりました。
その結果、なんとその日のうちに夫から離婚届に判をもらうことができたのです。今でも思うのですが、こわがって現状に留まり、あの日に行動しなかったら、今も離婚できていなかったかもしれません。あの朝、自分の直感に従って動いたおかげで、びっくりするほど物事がスムーズに流れていったのです。
自立するためにも、「人を頼る」ことが大事とわかった
天からの声に導かれ、たくさんのミラクルが起こった1日でした。実は、その日に勇気を出してチャレンジしたことが、もう一つあります。それは、人に頼るということでした。
今まで、人に頼み事をすることは申し訳ないことと思っていましたが、「素直に人に頼る」ことができたのです。自分の心の声を信じ、包み隠さずありのままのわたしを見せることで、たくさんの方が協力してくれました。だからこそ、その日のうちに、離婚届に判をもらえたのだと思います。
また、その時願った、「雲ひとつない澄みきった青空を見あげながら、子どもたちと手をつなぎながら笑顔で歩きたい」という想いは、新しい人生の原点となり今のわたしを支えています。
人に頼ることを、依存と感じられた方もいらっしゃるかもしれませんが、依存とは違います。依存は、相手に頼らなければ自分を満たせない状態です。人に頼るということは、自分と相手を信頼して初めてできることで、自立するためにとても大切なことなのです。
福山れい(ふくやま・れい)さん
公認心理師。2011年より心理カウンセラーとして、女性相談(夫婦問題・モラハラ・DV・離婚など)に携わる。子供のころから親の価値観に縛られ自己肯定感も低く、結婚しても自分が我慢すればいいと夫に振り回されていたが、離婚を決意したことで、自分の可能性に目覚め、心理の学びを深める。その後、自分と同じような思いをしている女性をサポートするために起業。延べセッション数は2000 件以上。近年は、SNS 相談員、スクールカウンセラーとしても活動中。【公式HP】
『7つのワークで「自分らしさ」を取り戻す モラハラ夫の精神的支配から抜け出す方法』
著者:福山れい 日本能率協会マネジメントセンター 1650円(税込)
モラハラ夫の妻たちは、物理的・精神的に自立を阻まれている――。自身もモラハラ夫との離婚を経験し、心理カウンセラーになった著者が、「モラハラ夫への精神的な依存」から抜け出すための7つのワークを中心に紹介。「あなたが踏み込んで欲しくないことはなんですか?」「セルフイメージをあげよう」など、“私はどうか?”を問いかけながら読み進められる内容で、自分らしく生きる選択をするための気づきを与えてくれる一冊。
構成/金澤英恵
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