恋愛ができないとは思わない。でも、最優先は娘。


「それでも、しばらくは結婚していないことや父親がいないことを、あまり人に言うことはありませんでした。隠すわけではないけど、SNSで報告なども特にしませんでしたね。コミュニケーションが上手い方ではないので、説明の仕方もよくわからなくて......。

でも子育てをするうち、意外にシングルマザーが多いことに気づいて。みんな堂々としていて、恋愛したり再婚をしてるママもいます。円満な家庭のママに偏見を持たれることもなくて安心しました。周りの環境にはとても恵まれていると思います」

美香さんは都心で子育てをされていますが、最近はシングルマザー以外にも事実婚や別居婚をしている家庭も多いため、思ったよりも引け目などは感じず過ごせていると言います。

「私も産後に男の人とデートすることもありましたが、子どもがいても良くしてくれる人には感謝してます。シングルマザーだからって恋愛ができないとは思わないけど、私の最優先事項はやっぱり娘なので、娘の存在を受け入れてもらえない男性とは親しくなれません。

でも、他人の子どもにまで優しくできるのは本当に思いやりがある人ですよね。なので、娘の存在がかえって良い意味でフィルターになって、恋愛も友情も昔より良い人間関係を築けているのかもしれません」

また、以前はどんなに贅沢で充実した生活を追求しても、心が満たされなかったという美香さん。今は幸せだと言いますが、その理由は何でしょうか。

「とにかく娘の存在が大きいと思います。娘を幸せにしてあげたいし、彼女が楽しそうにしてくれていれば私も本当に幸せなんです。毎晩一緒に寝るとき、『大好きだよ、愛してるよ』って何度も声をかけて寝顔を眺めていると、日々の小さなことはどうでも良くなるし、娘のために頑張ろうと思えます」

「男に捨てられた、可哀想な女と思われたくなかった」孤独なシングルマザーを救った元恋人の提案_img0
 

そんな美香さんのスマホ画面には、満面の笑みの娘さんの画像。裏にはデニーズで貰ったという『すみっコぐらし』のシールがたくさん貼られているのが微笑ましいです。

 

取材を通して一番印象的だったのは、美香さんがほとんどネガティブな言葉を口にしないこと。苦いご経験を語る場面でも、他責になるようなマイナスな発言はぐっとご自身で飲み込み、すべて自分の責任として前を向く強さを感じました。

現在も男性が美香さんに惹かれるのも、外見だけでなくこうした内面の魅力によるものが大きい気がします。

また娘さんの話を伺っていると、人は愛情を注げられる対象がいることこそが、自身の心を満たすように思えました。美香さんの場合、娘さんへの愛情がご自身の幸せに直結したのでしょう。

とにかく子どもが好きだという美香さん。できれば娘さんに兄弟を作り、子どもに囲まれ、いつかは郊外に移りゆっくり暮らしたいと仰っていました。今後も素敵なお話を伺えるのが楽しみです。
 


取材・文・構成/山本理沙
 

 

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