介護保険料とは


「専業主婦のさゆりさんの介護保険料がどうなっているか」ですが、さゆりさんのように夫の扶養に入っている専業主婦の場合、妻本人が保険料を納めることはありません。介護保険料は原則として、第2号被保険者(40~64歳)である健康保険被保険者本人(夫)が徴収の対象で、被扶養者(妻)の分は健康保険組合が工面します。

また、もう1人のご友人、久美子さんのような自営業の方(国民健康保険に加入している方)は世帯で一括して支払うので、専業主婦であれば基本的に自己負担する必要はありません。給与からの天引きがないため納付書や口座振替で支払いますが、介護保険を含めた「健康保険料」となります。

介護保険料は、介護保険の財源の一部を負担するという目的で生まれ、現在、公費50%、40歳以上の現役世代と65歳以上の高齢者の保険料50%という形で分担しています。介護サービスを利用している要介護(要支援)認定者数は、2022年4月末時点で691万人介護保険料は満40歳に達したときから亡くなるまで生涯払い続けるもので、納め方は年齢によって異なり、「65歳以上の第1号被保険者」と「40歳以上64歳までの第2号被保険者」の2パターンがあります。

 

40歳以上64歳までの介護保険料は?


では、40歳以上64歳までの方たちが実際どのぐらいの金額を負担しているのでしょうか。ここからは、専業主婦・里奈さんの旦那さん(40歳以上64歳までの会社員)が負担している介護保険料を見ていきましょう。その前に、保険料の徴収や保険給付などを運営している団体(保険者)には、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」と「健康保険組合(組合健保)」の2種類があり、勤め先がどちらを選択しているかによって介護保険料率は異なってきます。里奈さんの旦那さんは協会けんぽに加入しているそうなので、そちらの保険料率(毎年見直されており2022年度は1.64%)で見ていきます。

〜里奈さんの旦那さん(45歳・会社員)の場合〜
■報酬月額:50万円
■標準賞与額:年に2回 79万円ずつ

■標準報酬月額(50万円)×介護保険料率(1.64%)=1カ月当たりの介護保険料(8200円)
■標準賞与額(79万円)×介護保険料率(1.64%)=賞与時の介護保険料(12956円)

保険料の半額は事業主が負担するので、里奈さんの旦那さんは実質月々4100円の介護保険料を支払い、ボーナス時はこれに6478円が加算されます。

なお、上に記載した「標準報酬月額」は純粋な給与の額ではありません。税金が引かれる前の給与額を大まかに区切ったもので、5万8000円から139万円まで50等級に区分されています。この報酬の中には通勤代や残業代も含まれるので、コロナ前後で介護保険料が大幅に変わった方もいるかもしれません。

 

65歳以上の介護保険料の介護保険料は?


「介護は現役世代が担っている」とも言われますが、介護される側のシニア世代もきっちりその保険料を納めています。第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は、自治体ごとに高齢者の数、介護サービスの有無、サービス費用が異なるため、介護保険事業計画に基づいて基準額が決められており、保険料は3年ごとに見直されます。

厚生労働省が発表した第8期計画期間(2021~2023年度)おける介護保険料見込みによると、高齢者(第1号被保険者)が支払う介護保険料の全国平均額は6014円で、第7期計画期間(2018~2020年度)の5869円と比べて145円増。2025年度には、8200円程度になる見込みと言われています。介護保険制度が始まった2000年は全国平均2911円でしたが、その額は年々増え続け、25年間で3倍近くに膨れ上がっています。また、保険料の基準額には地域格差も見られ、その差は月額6500円にもなっています。

高齢者人口の増加によって先行きが不安視される介護保険制度。介護保険料の負担開始年齢の引き下げ案(40歳から30歳へ)なども検討されていますが、現時点では大幅な変更は予定されていません。


写真/Shutterstock
構成/渋澤和世
取材・文/井手朋子
編集/佐野倫子

 

 

 


前回記事「介護料が2倍になる人も!?介護保険制度改正で変わった3つのこと」>>

 
  • 1
  • 2