3年ごとに見直しが行われている介護保険制度。直近の改正は2021年度に行われ、2021年8月利用分から介護施設の食費・居住費補助と高額介護サービス費の負担限度額が見直されました。約30万人に影響があったこちらの改正。1年近くが経った今、当事者となった今回の相談者・千夏さんの父親は、介護サービス利用料が倍以上になったと嘆いています。話を聞いてみましょう。

 


800万の収入が仇となった!?


私は中学時代に母親を乳がんで亡くし、父ひとり、子ひとりの父子家庭で育ちました。父は不動産会社の部長職を務める多忙な人ではありましたが、母亡き後は私との時間も捻出してくれたので、寂しさを感じることなく成人することができました。

しかも「老後はお金で千夏に迷惑をかけないようにするよ」が口癖だった父は、生活費を節約して都内に収益物件としてアパートを購入していたんです。父の収入はアパート収入と年金合わせて800万円弱ありますが、老後資金どころか私の息子たちの学費も援助してくれていて、本当に甘えっぱなしになっています。

そんな父も80代に入ってからは脳梗塞や肺炎を繰り返し、88歳になった今はほぼ寝たきり状態に。要介護5で施設に入居しています。介護度の高い父はあらゆる介護サービスを受けていますが、去年の8月利用分から高所得者の介護負担額が見直され、月々4万4400円だった自己負担額が倍以上の9万3000円になってしまいました。あの年齢で収入が800万もあるんだから、当然と言えば当然ですよね。

そんな話を大学時代の親友・あゆみにしたところ、「うちは千夏のところと違ってたいした収入はないのに、施設にいる父の食費が倍になって大変なんだ」と言われました。聞けばあゆみのお父さんの年金収入は140万円ほど。我が家とは違う見直しの対象で、月に2万円ほどだった食費が4万円超えになってしまったそうです。年間にすると26万円もの負担増とのことで、140万円の年金収入に対してさすがにそれは厳しいですよね……。

あゆみのところはお母さんが実家で暮らしているので、切り詰められるのはお母さんの生活費だけと頑張っているようですが、見かねて彼女も仕送りをするようになったそうです。

これまで何とかやってこられたことが、法改正によって火の車になるということもあるんですね……。私たちの時代になったらどうなることやら。

 
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