クレームを言ってくる乗客への対処法とは?


まずはクレームへの対処法を見ていきましょう。ある日、乗客から乗り越し精算の金額が自分の計算した金額よりも高くなっていると苦情を言われた綿貫さんは、清算金額の計算は複雑で、予想より高くなる場合があることを丁寧に説明しますが、乗客の怒りを鎮めることはできませんでした。

「私は困り果てて先輩に助けを求めたところ、先輩が対応を代わってくれて乗客を言いくるめていった。乗客に説明していることは私とほぼ変わらなかったが、新人の自信のなさそうな対応だと納得いかないが、ベテランの自信のありそうな対応であれば同じことを言われても納得したようで、正規の金額を支払い去っていった」

 


包み隠さず本音を言って苦情を封印


このときは先輩の力を借りて事態を収めましたが、常に他人を頼れるとは限りません。また、乗客の怒る気持ちも理解できた綿貫さんは、自分一人だけでもこの状況を打破できる言葉を思いつきました。

「私もおかしいと思います」

これは綿貫さんの本音でもありました。相手を説き伏せるのではなく、自分の正直な気持ちを吐露した背景には以下のような事情がありました。

 

「私もおかしいと思うが、私の判断で安くすることはできないし、安くしてしまうと私の独断で割引をしていることになり、場合によっては私が会社から処分される。と丁寧に説明した」

乗客の気持ちに寄り添う姿勢を示したことが、功を奏したのでしょう。コミュニケーションを良好にするうえでは、このことが何よりも重要かもしれません。

「高いと最初は怒っていた乗客も、最終的には仕方ないと納得して支払ってくれ、さらに(駅員さんも大変なんだな)と応援の言葉をいただくことまであった。私もおかしいと言った結果、さらなる苦情に発展したパターンはゼロである」