2020年放送の『恋はつづくよどこまでも』がヒットを遂げてから、TBS火曜ドラマ(通称:火10)は、次々とラブコメ作品を打ち出してきました。『私の家政夫ナギサさん』は、“おじキュン”、『着飾る恋には理由があって』は、“うちキュン”、『婚姻届に判を捺しただけですが』は、“ふいキュン”と、キャッチーなコピーも面白い。ドラマファン以外からも、「火10=ラブコメ枠」という印象がついてきてるように思います。
しかし、「あれ? 路線が変わってきた?」と思ったのが、今年1月放送の『ファイトソング』から。岡田惠和さんが脚本を担当した同作は、ラブストーリーでありながら、“ラブ”がメインではなかったのです。どちらかといえば、“生き方”に重きを置いていた。キュンキュンする恋を描くのではなく、生活のなかにある愛を描くような。その後に放送された『持続可能な恋ですか?〜父と娘の結婚行進曲〜』も、そうでした。壁ドンや顎クイなどの典型的なキュンよりも、じわっと心が温かくなるラブストーリー。現在放送中の『ユニコーンに乗って』も、大人の青春を描いています。おそらく、ラブではなくお仕事パートがメインになっていくのでしょう。
このように、火10はひとつの転換期を迎えています。
火10とは対照的に枠の個性を全面に打ち出そうとしているのが、日本テレビ系の水曜ドラマ(通称:日テレ水10)。日テレ水10は、「様々な女性の生き方を届けるドラマ枠」と宣言しており、2016年放送の『家売るオンナ』以降すべての作品で、女性を主人公に起用しています(※『獣になれない私たち』、『私たちはどうかしている』、『恋はDeepに』はダブル主演)。
『ムチャブリ!わたしが社長になるなんて』や、『悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜』など、恋よりも仕事を重点的に描くのがこの枠の特徴。20日スタートの新ドラマ『家庭教師のトラコ』の主人公も、働く女性です。
そんな日テレ水10の対抗馬となるのが、復活したフジテレビ系水曜ドラマ(通称:フジ水10)。2016年の『フラジャイル』以降、ドラマ放送を休止していたフジ水10が、6年ぶりにまさかの復活! 好調な日テレ水10に、わざわざぶつけてくるとは……! と驚きました。しかも、作品の系統が真逆なのが面白い。フジ水10は、男性を主人公に据えたヒーロードラマを打ち出しているのです。この対決、どちらに軍配があがるのか。
ちなみに、復活第一弾の『ナンバMG5』は、視聴率としては『悪女(わる)』に劣っていましたが、コアなドラマファンからの評価は高かった。働く女性が共感しながら楽しめるのは日テレ水10ですが、男同士の熱い友情に泣きたい人にはフジ水10が刺さるのかもしれません。現在放送中の『テッパチ!』も、男同士の友情を爽やかに描いており、『ウォーターボーイズ』を彷彿させるとの声が多く上がっています。
夏ドラマ“水10対決”の行方は、一体どうなるのか! すでにフジ水10は、次クールに山田涼介さん主演で『親愛なる僕へ殺意をこめて』を放送することを発表しています。両局とも、とくに力を入れてくるであろう水10ドラマ。今後の展開にも、期待したいです。
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