日常で感じる「ちょっとした違和感」について井戸端会議していくこの連載。ウェブマガジン「ミモレ」とその読者コミュニティ〔ミモレ編集室〕に寄せられた皆さんのモヤモヤエピソードをご紹介していきます。

今日ご紹介するのは、最近話題の「切り抜き動画/記事」を彷彿とさせるエピソードです。

 


「マユコさん、お教室でブチ切れたらしいよ」って、え?


エピソードをお寄せくださったのは、息子さんの習い事が増えててんてこ舞いだというマユコさん(40歳・会社員)。


小学生の息子がいる働くママです。最近は共働き家庭も増えているので、PTAの仕事や習い事での保護者のお当番活動なども、働いているからといって免除されるようなことはありません。すべての集まりに参加するのはなかなか難しいのですが、保護者仲間と連絡をとりあい、連携しながら支え合って活動しています。

しかし最近、ちょっと気になることが。

「マユコさん、この前ブチ切れたんだって?」「マユコさんの剣幕に、みんなビビってたんでしょ?」特に悪口という感じではないですが、そんな風に声をかけられることが増えたんです。

とある習い事の集まりで、クラスの運営について私が気になることを指摘したのが発端のようです。私の質問に対して、慣れていないスタッフの方が要領を得ないことをくどくどおっしゃっていたので、途中で遮って「そういうことじゃありませんよ」と確かにびしっと言ったと思います。でも、「ブチ切れた」というのとは違うような……。

その前に丁寧に説明した上でのことでしたし、自分としては理性的に振舞っていたつもりなのですが、切り取られ方によって私がヒステリーを起こしたように伝わっていることに動揺しました。仲間内ではすっかり「マユコさんブリ切れ事件」として笑い話になっているのですが、一緒に笑いながら実はモヤモヤしている自分がいます。

 


「面白ければ良いんじゃない?」カット&エディットの罪深さ


前後の事情をカットして、インパクトのある部分だけ情報として残す。SNSなんかでもよく見る光景です。マユコさん、災難でしたね……。

誰かが怒っているとか、泣いているとか、パッと見て「引きのある」場面にも、当事者にしか分からない事情や経緯があります。面白おかしく効果的に伝えるために、物事の一部分だけ切り取りするのは、とても良く言えば、コミュニケーションテクニックなのでしょうか。

 
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