「子どもの教育」への不安を解消するには?
小さいお子さんのいる家庭では、「教育」も移住に対する懸念材料の一つではないでしょうか? 宇都宮さんはこの問題を解決するヒントを提示しています。
「オンラインで学ぶことを前提とすれば、移住への新たな扉が開けるかもしれない。コロナ禍によって進学塾だけでなく、語学や資格、エクササイズなどあらゆるジャンルでのオンライン教育が本格化している。昨今、YouTubeだけで外国語をマスターしたといったニュースも聞かれ、やる気さえあればオンラインで多様な知識を蓄えていくことが十分可能な時代になりつつある。今後もどんどん洗練され、そこでの学びは深みを増していくことだろう。田舎暮らしにおける学びの充実度がオンライン教育で大きく変化するのは間違いない」
もちろん、子どもにだって百人百様の個性がありますから、なかにはオンライン教育になじめない子もいるでしょう。もしそんな不安が頭をよぎったたら、移住後のメリットに目を向けてみるといいかもしれません。
「大都会の保育園では車がガンガン走る道路に注意を払いながら散歩しなければならないが、田舎の保育園では、山歩きや海辺での散歩やお遊びが日常的に行われ、毎日のように大自然を体感している。また、人口が少なく必然的に少人数のクラス編成となるため、先生が子どもたちに対して十分にケアできているのを筆者も実感している。さらに、田舎では地域ぐるみで子育てをサポートしようという意識が根付いているのも見逃せない。このように田舎での子育ては、子どもにとってのメリットがたくさんある」
田舎での子育ては、親にとってもメリットがある
さらに、宇都宮さんは小学一年生の子どもを持つ移住者・関戸沙里さんのコメントを引き合いに、移住したことで親が受けるメリットについても言及しています。
「『都会で子育てをしていたときは、人の目が気になることがよくありました。細かいことを気にされるお母さんもいるので、迷惑をかけているんじゃないかと思ってしまって。でも、こっちに来たらそのような気遣いが全然なくなりましたね。皆が自然体の子育てを望んでいるから、親としても非常に楽。子どもがなにかしでかしても、親同士は「あ、ごめん」「いいよ」でほとんど済んでしまうんです』。こうした声は子育て移住を果たした親からよく聞かれる。子どもたちはもちろん伸び伸びと、親たちだっておおらかに子育てを楽しみ、皆で助け合うスタイルが多くの田舎に浸透しているのだ」。
宇都宮ミゲル(うつのみや みげる)さん:1967年東京生まれ。編集プロダクション「miguel.」代表。外資系保険会社を経て、ダイビング専門誌の編集者を12年務めた後に独立し、妻とともに編集プロダクションを立ち上げる。グラフィックデザインや旅、スポーツ、音楽、ビジネスなどを主な対象に執筆・編集。2015年に東京都浅草から奥多摩の山中にある古民家へ移住し、夫婦で子育てをしながら田舎暮らしと仕事を満喫。移住を機に移住専門誌『LOCOLA』編集長に就任、現在は里山暮らし専門誌『soil mag.』をプロデュース中。
『お気軽移住のライフハック100』
著者:宇都宮ミゲル 集英社インターナショナル 1760円(税込)
移住に必要な心構えや、身につけるべきスキル、近所付き合いのコツなど。憧れの移住生活に役立つさまざまなライフハック(=安楽に過ごすための技術)を、多くの移住者に取材し、自身も移住した経験をもつ著者が解説。TVや雑誌の田舎暮らし特集では見えてこない、リアルな移住のあり方を知ることができます。
構成/さくま健太
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