介護や看護が理由で仕事を辞める人は年間10万人と言われています。その割合は少ないかもしれませんが、働き盛りの40〜50代にとって介護離職はいつ直面してもおかしくない問題です。今回相談に訪れた奈緒さんの会社でも、最近立て続けに2人も介護離職者が出ました。奈緒さん自身は独身で、両親は高齢、一人っ子で頼れる人もいないため、介護離職のことを考えると不安になると言います。少し話を聞いてみましょう。
社内で2人も……ミドルエイジが介護離職する理由
私は総合商社に勤める会社員ですが、ここ1年で周りに介護離職した人が2人もいます。1人はいつも一緒にランチに行っていた同期の理恵子。47歳独身で、数ヶ月前から介護休業を取得して脳梗塞で入院した母親の介護をしていました。彼女は一人っ子で母親が大好き。いつも母親の話をしていたので、大切に思う親の面倒を見るのは自然な流れでした。その休業から2ヶ月が経った頃、そろそろ復帰かなと思っていた矢先にLINEが来たんです。
「いろいろ考えたんだけど、母は今後確実に介護が必要になるし、私も母との時間を大切にしたいの。だから退職することにした」
バリバリ働いていた理恵子が介護を理由に会社を去るなんて、私には信じられないことでした。ですが実家は裕福で、10室ほどのマンションを保有していることもあって、仕事を辞めても生活はできるとのこと。
その数ヶ月後、今度は先輩の男性社員が退職の挨拶にやってきました。もしやと思って理由を尋ねると、先輩も母親の介護のためとのこと。年齢も50代後半に差し掛かっていたので、当面の収入は会社が設けた中高年社員のためのセカンドキャリア制度でカバーしようと考えたそうです。
「自分の場合、幸い最長1年間の有給休暇取得後に退職するか、セカンドキャリア準備支援金として加算金を受け取って退職するという選択ができたんだよね。このまま会社に残っても給料は減る一方だし、母親のこともあってこの先の人生を考え直すことにしたよ」
先輩はそう話します。介護以外にも複合的な理由はありそうでしたが、状況はどうであれ、2人の退職は介護離職について考えさせられるきっかけになりました。私自身は独り身ということもあって、介護離職は何が何でも避けたいと思っています。
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