夏ドラマも、中盤に差し掛かってきましたね。『六本木クラス』(テレビ朝日系)や、『ユニコーンに乗って』(TBS系)など数々のGP帯ドラマがヒットを飛ばしていますが、深夜ドラマも負けていない! ということで、今回は、深夜帯に放送されている夏ドラマの中から、筆者イチ押しの作品『消しゴムをくれた女子を好きになった。』(日本テレビ系/以下『消し好き』)を紹介していきたいと思います。

【あらすじ】
暇な人は聞いてくれ。これは俺の13年間の恋の話––––––。中学2年生の福田悠(大橋和也)は、隣の席に座る女子・伊藤さとみ(福地桃子)にシャーペンの芯を分けてあげた。すると、新品の消しゴムを半分に割ったものを“お礼”として渡してきたさとみ。一瞬にして心を奪われた福田は、中学生から社会人に渡る13年間、“運命”と呼びたくなるような再会と別れを繰り返しながら、さとみに片想いをし続ける。
 

『プロポーズ大作戦』のエモさに湧いた大人に観てほしい


『消し好き』がスタートした時、なんだか懐かしい感覚に陥ったんですよね。一途な恋、淡い青春、そして男同士の熱い友情––––––これって、2007年放送の『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)っぽくない? と。

あの頃、礼(長澤まさみ)を一途に想うケンゾー(山下智久)の姿や、彼の恋を応援する幹雄(平岡祐太)& ツル(濱田岳)の熱い友情に泣かされていた人には、ぜひ観てほしい作品です。

主人公の素直になれない感じも、どこか似ているんですよね。福田(大橋和也)も、大好きなさとみ(福地桃子)にうまくアピールができず、チャンスをことごとく無駄にしていきます。『プロポーズ大作戦』の妖精(三上博史)よ、福田にもハレルヤチャンス(=ケンゾーがタイムスリップする時の呪文)を与えてあげてくれ……!

ケンゾーと同じく、福田にも発破をかけてくれる友人がいます。テンション高めの板倉(藤原丈一郎)と、我が道をいく森くん(小島健)。この2人、とにかくいい奴なんですよ。「もしかして、未来の福田が後悔しているのを知って、タイムトリップして来た??」と思ってしまうほど、恋のアシストがうまい。

なにわ男子のなかで、“丈橋”と呼ばれている仲良しコンビ・藤原くんと大橋くんだからこそ、織りなすことができる遠慮なしのリアルな空気感。そこに、関西ジャニーズJr.時代に苦楽をともにして来た小島くんが入ることで、親友3人の間に家族のような温かさが生まれています。ヒロインの福地さんも、とにかく素敵……! 「こりゃ、13年間も追いかけてしまうわ!」と納得させるオーラを纏っています。現在、第3話まで放送中の『消し好き』。『プロポーズ大作戦』に続く青春ラブストーリーの名作になるでしょうか。
 

忘れかけていた“あの頃”を思い出させてくれる


本作のいちばんの魅力は、忘れかけていた“あの頃”を思い出させてくれるところ。打算や駆け引きなしで、相手のことをまっすぐに想う気持ち。そして、時には茶化し合いながらも、深い部分で通じ合っている仲間たちとの絆。福田の恋を応援するために、意味があるか分からないことにも果敢で挑んでいく板倉と森くんの姿を見ていると、一気に“あの頃”が蘇るんですよね。

大人になると、意味のないものを排除してしまったり、諦める癖がついてしまう。でも、「もう、いいや」「こんなの、時間の無駄じゃん」と捨ててしまったものにこそ、大事なものってあるのかもしれない。さとみが引っ越してしまう日、間に合うかどうかも分からないのに、3人は必死でさとみ宅まで自転車を漕ぎました。結局、さとみには会えなかったけれど、やけくそで歌ったYUIの『CHE.R.RY』は、彼らの心にずっと刻み込まれているはずです。(「星の夜 願い込めて “cherry”」の部分で、福田を指す板倉が面白い……!)

どうしても、時間に追われてしまうミモレ世代。筆者も、できるだけ無駄なことは排除していきたいタイプです。でも、月曜日の夜に『消し好き』を観ると、「もう少し、無駄なものにも目を向けてみようかな?」と心に“余裕”を持てるようになるんです。観終わったあとに、じんわりと温かい気持ちになれるのも、本作の魅力のひとつ。

主人公の福田が、27歳になるまでを描く『消し好き』。今週、高校生編に突入したばかりなので、まだまだ間に合います! ぜひ、チェックしてみてください。

 


前回記事「この夏のダークホース?!『純愛ディソナンス』がリアタイ欲をくすぐる面白さ!」はこちら>>

 
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