正直、ノーマークだった『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)。教師と生徒の禁断の恋を描いた作品はたくさんあるし、本作もそのひとつなのだろうと思っていました。 

「あれ? 何かが違う?」と気付いたのは、第2話から。教師と生徒の恋愛を主軸にした物語って、2人の関係性を正反対にする行為(=生徒が教師を包み込むような)が大きな山場になります。教師と生徒の壁を取っ払って、対人間として接しているんだな……というのが伝わってくる重要なシーン。『純愛ディソナンス』では第2話に、子どものようにすがる正樹(中島裕翔)を、冴(吉川愛)が抱き寄せる場面を持ってきました。

さらに、“学校に2人の関係がバレる”という禁断の恋における最大の事件も、第2話のうちにあっけなく終了。あまりの展開のはやさに、「え? これって、最終回?」「もしや、教師×生徒の純愛を描くだけのドラマではないのかも?」と思うようになりました。

そして、その予感は的中。物語は、一気に5年後の世界に飛び、また新たな事件が巻き起こっていくのです。

“この夏のダークホース”と言われている『純愛ディソナンス』。筆者的には、今期のドラマのなかで、いちばんリアタイ欲をくすぐる作品だと思っています。

教師と生徒の禁断の恋、恋愛絡みの殺人事件、不倫、そして純愛……恋愛ドラマの面白い要素を、すべて取り入れているかのような本作。「はいはい、また禁断の恋愛ものね〜」と勘違いをしてしまうのは、もったいない! ということで、今回は『純愛ディソナンス』の魅力をご紹介していきたいと思います。

 

『Nのために』『最愛』を彷彿とさせるクオリティ


主人公の正樹は、出来のいい兄と常に比較されて育ってきたため、強いコンプレックスを持っています。一方の冴も、「人生で最も重要なのは、男の選択」と偏った価値観を押し付けて、支配をしてくる“毒親”に育てられてきました。

どこか人生を諦めてしまっているような闇を抱える2人にとって、救いとなったのがこの“純愛”。<真相は、愛で消える>というキャッチコピーを掲げた『最愛』(TBS系)と同じように、愛が人を狂わせていく––––––。

さらに、冴の副担任で、正樹の兄の恋人だった小坂先生(筧美和子)の謎の死まで絡んできます。まさに、愛と欲望が絡むドロドロとした純愛サスペンス。そこに、『Nのために』で悪い父親を演じた光石研さんが、めちゃくちゃ悪い姿で登場……! ネット上では、「『Nのために』や『最愛』を彷彿とさせる」「『最愛』と『Nのために』の要素が匂う」との声が多く上がっていました。