スタイリスト福田麻琴さんが、身の回りの”愛するモノ”について語ります。

 
 

大人になればなるほどワガママになった気がします。
いや、ワガママになったというより心の声が口からダダ漏れてしまっているだけかも。
自分的には心でつぶやいただけの小さな一言が、もはやつぶやきじゃなく肉声として発せられてる……なんてことが。
以前は心に留めておけたのになぁ(笑)

 

特にこの季節、一番多いワードは「暑い」
一歩外に出れば誰もいなくても「暑い」と言っている。
そして室内に入れば同じくらい「寒い」とも言っている。
そう、本当に室内は寒い。
これも温暖化が大いに関係してるだろうけど、年々感覚も敏感になっているはず。

夏は暑いのが当たり前だし、夏生まれだからか得意な季節ではあるけど“夏が寒い“という不思議な状態が苦手でして。
カフェでも汗をかきながらテラスを選んでしまうんです。
テラスがあるなら私的には快適なのですが、全部のカフェがそうともいかない。

大きな商業施設なんかはクーラーキンキンのところが多く、一体誰の体温に合わせて温度を設定しているんだか。
こんなところにずっといたら体がおかしくなっちゃうよなぁ、なんて店員さんを見渡せばノースリーブの人なんか皆無で、みんな何か羽織ってたり、お洋服のお店だともう秋物なんかを着てたりする。
それを知ってから私は夏こそ防寒している。
変な話。

もちろんダウンやウールのニットで、ではないです。
コットンのカーディガンやリネンのシャツなど、風通しは良くて袖の付いているもので。
かぶるタイプも好きですが、羽織として一番気にいているのがこのマルジェラのカーディガンです。

 

シンプルな定番アイテムこそ信頼のおけるブランドで、というのは私の買い物をする時の心得みたいなものですが、まさに!
カーディガンは大体形が決まっています。
ネックの形、素材、色はたくさんありますが、羽織れるデザインというのはそこまで無数にはないはず。
だからほんの少しのデザインの違いだけな気がするんです。
このマルジェラはエルボーパッチ、ダグの白い糸が定番ながらポイントになっていて、両サイドに少し入ったスリットとか同色のMのステッチとか、細かいところに気が利いています。

 

“ときめき“とはこういうこと。
一見普通だけど、触れれば触れるほど味わい深い。
深いなぁ。そんな人になりたいものです(笑)
それにカーディガンは早々買い替えない。
デザインがたくさんないし、じゃんじゃん洗濯するタイプのアイテムではないから、そこまで傷まないですよね。
だからちょっと奮発してもいいかなって思ってしまうのです。
今日も肩にかけられたり、腰に巻かれたり、時にはバッグの中でクチャっと丸められたりしながら、私の冷えかかった体を温めてくれています〜。
ありがとうよ!

 

写真・文/福田麻琴
 


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