ARMYの新たな聖地に生まれ変わった『花樣年華 on stage : prologue』MV撮影地のソウル大学廃プール
世界的大ブレークの前夜ともいえる、2015年10月に公開された『花樣年華 on stage : prologue』のミュージックビデオ。その冒頭に登場するのが廃墟と化したプールです。この映像が撮影されたのは、所属事務所HYBEパン・シヒョク議長の母校、ソウル大学でした。
このプールの救世主、『BTS オン・ザ・ロード』(玄光社刊、筆者訳)の著者ソウル大学言論学科のホン・ソクキョン教授に案内していただき、プール跡地を訪れました。
ソウル大学135棟近くの細い道を登ること約5分。直射日光が照りつける中、岩が転がる急こう配をどうにかのぼると、目の前に広がったのは、プール……ではなく、公園のようなスペース。プールは壁一面だけを残して撤去されていました。
実は、プールは1990年代初めに使われなくなった後に放置され、近年に撤去されることになっていました。ところが、BTSの研究を進める過程でこのプールが『花樣年華 on stage : prologue』のロケ地であると気づいたホン教授が、取り壊しの撤回を提案。すでにプールの三面が撤去されていた段階で工事は急遽中断され、Vが描いたグラフィティーが残る一面が無事保存されることになりました。
ここはキャンパスの中心から離れた、ちょっとした山奥。学生たちの多くはプールの存在すら知らなかったといいます。なぜこんな場所にプールがあったのでしょうか。ホン教授が秘話を教えてくれました。
「プールが作られたのは、1960年代か70年代で、当時は水道水がとても貴重でした。だから、山の湧き水を利用できる場所が選ばれたのです。私も80年代末にソウル大学に通いましたが、『工学部の学生だけが知っているプールがある』『デモの途中で山に逃げ、プールの近くでマッコリを飲んだ』というキャンパス伝説を耳にするだけで、実際に見たことはありませんでした。泳いでいたのは一部の男子学生だけだったのでしょう。女子学生は、男子の前で水着になるような時代ではなかったから」
それから約35年。「幅広い人たちがTikTokなどで文化を発信する拠点となるように」というホン教授の願いのもと、廃プールは文化スペースとして生まれ変わりました。
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