左手でのキーボード操作に四苦八苦


続いて「仕事」。これはすでに、なんとなく目処がついていました。夫から小さめの新型ノートPCが差し入れられており、Wi-Fiがつながる食堂に移動しては、メールやLINEのやりとりをスタートさせていたのです。

それから3ヵ月ほどたって、左手での操作にだいぶ慣れてきたところ。最初こそ「せめてデリートやリターンキーだけでも、右手さんに担当いただくことはできないものか」ともどかしく思いましたが、人間とは素晴らしいもので、なんにでも慣れてしまうようです。

もちろんスピードはかなり遅くなりましたが、左手だけでもキーボードは打てます。そもそもキーの場所はわかっているので、左手くんが頑張れば問題ありません……!

利き手を使わず料理、運転、パソコン...退院に向けた最後のリハビリ【48歳・脳卒中闘病記】_img0
左手には杖を持っていて、右手は使えないため、車イスを卒業後は肩掛けバッグが必須。ノートPCを入れ、暇さえあれば食堂に通ってパソコン作業をするように。

それより問題は、ライターとして、これまでと同じような原稿が書けるかどうか。高次脳機能障害の影響がどのくらいあるか、です。

まずは夫の下書き原稿を送ってもらい、整える作業からスタート。「仕上がりはいままでと、変わりないで!」と夫にお墨付きをもらったときは、心底ホッとしました。

利き手を使わず料理、運転、パソコン...退院に向けた最後のリハビリ【48歳・脳卒中闘病記】_img1
退院1ヵ月ほど前のある日、ついに病室にWi-Fiが開通! なんとも快適な生活が手に入った。

その後、仕事の方々とメールをするうちに「取材の音源はあるから、原稿に起こす仕事をお願いしたい」とオファーが。レストランのシェフに取材したテープを夫が起こしてくれ(夫が同業でよかった!)、病室で原稿を書くことができました。どうやら、内容も問題なかったようです。

 

倒れて以来、数ヵ月無収入だった私。振り込みはだいぶ先だけど、「ギャランティーがまた入る」と思えるのはとてもうれしい! 右手でメモを取るのは無理だけど、レコーダーで録音すれば大丈夫。今はAIが文字起こしをしてくれるソフトだってあります。

よし、仕事は大丈夫そうだ。そう思える日がきて、本当によかった……!