ブルーゾーン(世界5大長寿地域)が持つ共通した長寿の秘訣は?


加えて、やはり食事にももっと気を遣ってほしいと思います。第一回でもお話ししましたが、昔の日本人の食生活というのは完璧でした。はっきりと証明されているわけではありませんが、昔の日本女性は更年期症状もそれほど重くなく、乳がんになる人も欧米女性に比べて圧倒的に少なかったのは、私はバランスのいい食生活が関係していたと思っています。

代表的なのが、日本一長寿の県として知られていた沖縄。「ブルーゾーン(世界5大長寿地域)の1つにも入っていますが、これらの地域はみな共通した長寿の秘訣を持っていて、その1つに「植物性食品が中心である」というものがあります。実際、伝統的な沖縄料理はゴーヤやニンジン、大豆、また紫芋など植物性食品を多く使ったレシピが多いですよね。ただ残念ながら今の沖縄は、アメリカの食スタイルがかなり浸透してしまって、メタボになる子供が増えているのですが……。

 

沖縄料理に限らず、日本の伝統的な一汁三菜は、ほぼ100点満点の理想的な食事です。それゆえかつての日本は、乳がんに限らず糖尿病やメタボも今より圧倒的に少なかったのです。2006年に『Japanese Women Don’t Get Old or Fat』という本がアメリカでベストセラーになったのですが、この本の中で主に紹介されていたのが一汁三菜の食スタイルでした。ちょうど本が出る少し前に映画『ラストサムライ』がヒットして、日本女性といえば小雪さんの美しい肌と黒髪が強く印象付けられていました。また知花くららさんがミス・ユニバース世界大会で2位になったこともあり、その美しさと食の関係に注目が集まっていたのです。

そのため海外では、今も日本人は一汁三菜のバランスの良い食事を摂っていると思っている人が少なくありません。だから私が日本で栄養コンサルタントとして活動していると言うと、「なんで?」と不思議に思われるのです(笑)。

でもそんな食事をしていたのは昔の話。今の日本女性は、生活スタイルも、食事バランスも、大きく変わってきています。若い人たちは野菜を食べる量が減り、パンや肉が中心となっている……。私はもう、彼女たちが将来どうなるのか心配でたまりません。どうか今一度、日本の素晴らしい一汁三菜の食バランスを思い出し、少しだけ戻す努力をしてほしいと思います。

☑︎海外から見た日本女性のイメージって?・一汁三菜のヘルシーな食事を摂っている
・献身的で自分のことは後回し
・仕事と家事、育児など終わりなきTO DO LISTに追われている
☑︎ブルーゾーン(世界5大長寿地域)・イタリアのサルディーニャ島
・日本の沖縄
・アメリカ、カリフォルニア州のロマ・リンダ
・コスタリカのニコヤ
・ギリシアのイカリア島

エリカ・アンギャルさん
1969年オーストラリア・シドニー生まれ。シドニー工科大学卒業、健康科学学士。ネイチャーケアカレッジ卒業(栄養学)。オーストラリアで医師とともに、アレルギーや自己免疫疾患、心臓病や糖尿病などの生活習慣病や、肌コンディションに悩む患者の治療に従事する。
1985年に初来日して依頼、日本に在住する親日家で伝統的な和食と日本文化をこよなく愛す。日本女性の心に響くよう、磨き続けた日本語で、美容と健康に関する世界の新しい知識を紹介することに、深い情熱を注いでいる。医療情報番組「MEDICAL FRONTIERS」(NHK WORLD)プレゼンター(2015年〜現在)を務める。著書に『最強でエレガントな免疫を作る100のレッスン』他。

『最強でエレガントな免疫を作る100のレッスン
エリカ・アンギャル ¥1430(幻冬舎)

アルカライズのことはもちろん、免疫を高めてくれる食、生活情報、さらにストレスマネジメント、自律神経の整え方など、100の最新情報が分かりやすく紹介されています。コロナなど新たな病原体を撲滅するのではなく、うまく共存していくための術が詰め込まれていて、まさに今読むべき1冊です!
 


撮影/嶋田礼奈
取材・文/山本奈緒子
構成/藤本容子
 

 

 

前回記事「グローバル基準からみた日本のヘルスリテラシーと医療制度は? スゴい常識VS.非常識」>>