新型コロナウイルス拡大が止まらない日本。乗り切るには、免疫力を高めて戦える体を作っておく必要があります。そこでこのたび、ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントとして"世界一の美女"を育てた経験を持ち、「内側から美しくなる食生活」を提唱してきたエリカ・アンギャルさんに取材。最新のヘルシーフード情報、世界から見た日本の食生活の良いところ悪いところ、そして更年期もハッピーに過ごすためのメンタルケアについて伺いました。

第二回は、海外から見た日本の医療・食の優れているところ、反対に遅れているところを教えてもらいました。

 

エリカ・アンギャルさん
1969年オーストラリア・シドニー生まれ。シドニー工科大学卒業、健康科学学士。ネイチャーケアカレッジ卒業(栄養学)。オーストラリアで医師とともに、アレルギーや自己免疫疾患、心臓病や糖尿病などの生活習慣病や、肌コンディションに悩む患者の治療に従事する。
1985年に初来日して以来、日本に在住する親日家で伝統的な和食と日本文化をこよなく愛す。日本女性の心に響くよう、磨き続けた日本語で、美容と健康に関する世界の新しい知識を紹介することに、深い情熱を注いでいる。医療情報番組「MEDICAL FRONTIERS」(NHK WORLD)プレゼンター(2015年〜現在)を務める。著書に『最強でエレガントな免疫を作る100のレッスン』他。

 


日本の医療は本当にスゴイ!


私は7年前からNHK WORLDの『MEDICAL FRONTIERS』という番組でプレゼンターを務めさせてもらっています。この番組では日本の最新医療やスーパーフードなど、様々な健康にまつわる情報を世界に向けて発信しています。これまで、日本の伝統的な健康食、漢方、針灸、さらにはIPS細胞などの再生医療やがん治療など、幅広く取材をさせていただきました。おかげで好評をいただいていて、今年の8月からはアメリカでも放送されることが決まりました。

そこで今回は、グローバル基準で見た日本の医療や食などの素晴らしいところ、反対にちょっと残念なところについてもお話したいと思います。

この8月で番組は130回目の放送を迎えましたが、その長い取材の中で、私が一番印象的だったのは日本の医療事情です。日本はとにかく医療システムが整っています。これは本当にうらやましく感じます。

日本ですと、たとえば不正出血があったら婦人科、目の調子が悪かったら眼科と、最初から専門の科で診てもらうことができます。でも私の出身国であるオーストラリアでは、何か不調を感じて病院に行きたいなと思ったとき、まずGPと呼ばれる一般開業医の診察を受けなければなりません。その後、GPの判断で専門の診療科がある病院へ紹介されるのです。時間がかかるうえ、医療費じたいも非常に高いのが実情です。

対して日本は、とにかく医療費が安いですよね。だからといってたいしたケアを受けられないというわけではなくて、たとえばがん治療では、放射線治療なども公的保険が適用されているものもあります。

治療法だけでなく、内視鏡やカテーテルといった医療機器の開発も進んでいることを知りました。日本のメーカーであるオリンパスの内視鏡は、世界シェア1位なんですね。他にも光を当てるだけでステージ0のがんを発見できる、という技術の開発も進んでいたりして、本当に驚きました。そもそも人間ドックという詳細な検査を会社が無料で社員に提供してくれるシステムがある国は珍しく、海外では健康意識の高い個人がせいぜい血液検査をおこなう程度。しかも、それすらもかなり高いんです。

最先端医療だけでなく、漢方治療も保険適用になっているところも良いなと思いました。北里大学東洋医学総合研究所というところを取材させてもらったこともあるのですが、漢方治療は今、コロナ後遺症における効果が高いと注目を集めているようです。

また私はこちらの番組で、自ら提案して日本のスーパーフードを巡る企画をやらせてもらっているのですが、そこで出会った素晴らしい日本の伝統的食材も忘れられません。カボスや味噌、酒粕など……。赤紫蘇ジュースも取り上げたことがあるのですが、赤紫蘇は抗酸化作用が高く炎症も抑えてくれることから、疲労回復に高い効果があるそう。東洋医学では、むくみをとる食材としても知られています。以来、私は赤紫蘇をいろいろとレシピに加えるようになりました。

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親日家の栄養コンサルタントエリカ・アンギャルさんの日常は?
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