言いたくはないけど、言わなければならない。そんなシーンで行われるのが「フィードバック」。「フィードバック」とは、相手の行動に対して改善点や評価を伝え、軌道修正を促すこと。仕事でも日常生活でも実は頻繁に行っている活動です。人の生命にかかわる医療の現場で、フィードバックはどのように行われているのでしょうか。
あるいは、医師が患者に厳しい知らせをしなくてはならないとき、どのようなことに気をつけて、話をしているのでしょうか。
未来につなげる「Ask-Tell-Ask(アスク-テル-アスク)」モデル
病院で医師として勤務していると、ほぼ毎日誰かにフィードバックを伝える機会があります。私の場合、研修医の先生、医学生の方と一緒に仕事をしているので、仕事のたびにフィードバックをお伝えしなくてはなりません。フィードバックとは、相手の行動に対して改善点や評価を伝え、軌道修正を促すこと。そこで私が心がけているのは、基本の「Ask-Tell-Ask」モデルです。
この方法では、一方的に情報提供やアドバイスをし続けるのではなく、まず相手に尋ねてから自分の考えを伝え、その上で、また相手に尋ねます。サンドイッチ方式ですね。
たとえば、一日の仕事が終わった後に、「どんなところがうまくいったか」、と相手の考えを聞きます。私がフィードバックを伝える前に、まず自分自身でその日の仕事をどう消化しているのかを聞くのです。その内容に賛同できる場合は賛同し、さらに聞くだけではなく、「他にもこんな良い点があった」など追加で気づいたことも伝えます。
そして次に、「もう少し改善できたと思うポイントがあるか」を聞きます。そこで相手の回答を聞いた上で、気がついたことをお伝えするのです。
「もう少し改善できたと思うポイントがあるか」という部分については、言葉選びに注意が必要です。
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