家族のモノにイライラした時のこんまり®流対処法


これまで紹介した方法を試しても家族のモノの多さにイライラしてしまったら、自分だけのときめくスペースを決めてみてください。各自が自由に使えるスペースを区切ったら、家族がそのスペースをどう使おうが自由。そう思ってイライラを回避するしかありません。

こんまりさんは片づけレッスンを行う中で、「夫のプラモデルやフィギュアなど、部屋に並べられた趣味のモノがどうしても気に入らなくて……」と話す女性に出会ったことがあります。そこで以下のように伝えてみたそう。

「気に入らないモノは視界に入れず、気にしないようにするのが原則です。それでもどうしても気になってしまうようであれば、あえてそのモノを少なくとも1分間触れて、見つめ続けてみてください」

 

するとその女性は旦那さんの趣味グッズに対して少しずつ興味が湧き、好みを受け入れられるようになったのです。家族のモノが気に入らない時は、とことんそのモノと向き合ってみる。これも1つの方法です。

 


捨てるモノを家族にあげる2つのデメリット


片づけを行う過程で、「捨てるのはもったいないから家族にあげてしまおう」と思う方もいるのではないでしょうか。人は誰しも、いらなくなったモノを前にすると、捨てるのがもったいなく思えてしまうもの。ですが「家族にあげる」は必ずしも良いことばかりではありません。

デメリットは2つ。1つは、自分のモノを家族にあげると、相手は「家族からもらったモノは捨ててはいけない」と思ってしまい、結果的に不要なモノに囲まれてしまうこと。こんまりさんもかつて、妹に着なくなった洋服をあげていました。しかも控えめな妹さんに対して、「新しいデザインだし可愛い服だけど、あなたがいらないなら捨てちゃうね」と半ば脅すような言い方で決断を迫っていたそう。

ですが片づけコンサルタントとしてレッスンをする中で、「家族にもらったモノだから……」と、ご自身の趣味とは違うお下がりの洋服に囲まれている女性に遭遇。あげる方はスッキリしていたかもしれませんが、もらった方はときめかないモノたちに囲まれてしまっていたということに気がついたのです。

2つ目のデメリットは、家族がもらうことに慣れてしまったら、ときめきを基準にモノを選ぶ力が育ちにくいこと。お下がりという風習はモノを大切にする素晴らしい文化なので、もしも家族にモノをあげるなら、家族が欲しそうなモノだけを選んで、「ときめく」と答えた時だけあげるのが良いのではないでしょうか。
 

構成・文/井手 朋子

 

<最新刊>
『おしゃべりな部屋』

近藤麻理恵、川村元気 著
1760円 中央公論新社

近藤麻理恵さんがこれまでに片づけてきた1000以上の部屋にまつわる実話を基に、映画プロデューサー川村元気氏が紡ぐ7つの部屋の物語。
気鋭の絵本作家・大桃洋祐のカラーイラストを収載した、読売新聞連載時から話題沸騰の小説がついに単行本化!

 


前回記事「【こんまり®流・片づけ術】使いやすい“キッチン収納“実践編「小物は3カテゴリに分ける!」」はこちら>>


近藤 麻理恵さん

 片づけコンサルタント。5歳から『ESSE』などの主婦雑誌を愛読。中学生のときに本格的に片づけの研究を始め、大学在学中の19歳の時、コンサルティング業務を開始、独自の片づけ法「こんまり®メソッド」を編み出す。2010年に出版した初めての著書『人生がときめく片づけの魔法』が世界40カ国以上で翻訳出版され、シリーズ累計1300万部を超える世界的大ベストセラーに。「KONDO」という言葉がアメリカでは「片づける」という意味として使われるようになるなど、社会現象となる。2015年、米『TIME』誌で「世界でもっとも影響力のある100人」に選出され、活躍の場を海外に広げている。2019年よりNetflixにてスタートした冠番組『KonMari—人生がときめく片づけの魔法—』が190カ国で放映され、エミー賞2部門にノミネート。2021年に公開された新シリーズ『KonMari〜“もっと“人生がときめく片づけの魔法〜』はエミー賞を受賞<デイタイム・エミー賞>。現在は、こんまり®メソッドを使った片づけレッスンを提供する「こんまり®流片づけコンサルタント」を育成し、日本を含め世界60カ国以上で約850名が活躍中。

 
  • 1
  • 2