星占い、つまり十二星座の占いに否定的な人たちは「人間がたった12のパターンに分けられるはずがない」なんてことを言いがちです。それはそれでごもっともな意見ではありますが、星占いがどこか特別なのは、その裏側に、神話の物語が見えるから。

物語に自分を投影するのは、楽しい。たしかに同じ星座の私とあの人は全然ちがう性格をしていて、歩んでいる道のかたちもまるで重ならないかもしれないけれど、「この小説は私のことを書いてくれている」と錯覚するほど共感した作品に、同じ想いを抱いたあの人と私が重なるかというと、そうとは限りません。小説なら普遍的な共感が許されるのに、占いではそれをしていけない道理はない。だから私たちは、占いに自分の心を、人生を投影するのです。とくに、石井ゆかりさんのような、物語の余地をたくさん含んだ人の占いには。

 

石井ゆかり
ライター。星占いの記事やエッセイなどを執筆。「12星座シリーズ」(WAVE 出版)は120万部を超えるベストセラーに。「愛する人に。」(幻冬舎コミックス)、「夢を読む」(白泉社)等、著書多数。累計発行部数は400万部を超える。