パラダイムシフトの今、「美の価値観」を刷新し続けてきた美容ジャーナリスト齋藤 薫さんが、注目したいある視点をピックアップします。
その死に、なぜ世界がこれほど喪失感を感じるのか?
遠い国の女王陛下の死。それをなぜこれほど身近に感じ、悲しみと寂しさを感じるのでしょう。
日本には「大往生」という言葉があるけれど、この96歳の旅立ちばかりは、そういうふうに捉えたくはないと感じたり。ある種の喪失感すら感じさせるのは不思議なほど。
もちろんそれは、英国内でも王室メンバーで常に人気No.1であり続けたほど、親しみやすさと責任感の両方を兼ね備えた尊敬すべき君主であったことが、私たちのもとにも伝わってきたからに他なりません。
でも実はもう一つ、まるでドラマを見ているような英国王室の人々、その暮らし、さらには数々のスキャンダル、エリザベス女王はその壮大なストーリーの絶対の主役にして、“語りべ”のような存在だったからなのかもしれません。
エリザベス女王は、常に正しく、勇敢で、慈悲深い人でした。しかし王室には、この人を失望させたり、悲しませたりする出来事が次々に起こっていたこと、私たちも知っています。つまり、その感情をどこかで共有していたのかもしれないのです。
ちょっと穿った見方をすれば、様々な出来事への心情を女王と共有できている気になっているのも、まさしくNetflixの『ザ・クラウン』が基本的に女王の立場から描かれていたように、「大人のおとぎ話」のような王室秘話を常にエリザベス女王の目線で眺め続けてきたからに他ならないのです。
【写真】世界中が納得するエリザベス女王の気高い姿
▼右にスワイプしてください▼
Comment