知識で自身と子どもを守ってほしい
「現在、養育費はついに3人で5000円になってしまいました……。『生活が苦しい、老後のお金を貯めないと』の一点張りです。こっちは老後どころじゃありません。5000円で子ども3人が育ったら苦労しないわ、というのが正直なところです。
離婚時の約束では、子どもたちとは2カ月に1回面会することになっていましたが、札幌に引っ越したのでそれもままならない状態です。はじめは彼が札幌に来てくれて、ありがたいなと思っていたら、家族カードで私が貯めていたマイレージを使い込んでいただけと発覚。
抗議すると、飛行機代を養育費と相殺してくるので、じゃあもう来なくていいです、と(笑)。去年実家の近くに小さな中古マンションを買って引っ越したのですが、その住所も教えていません。胸を張って、1円も助けてもらっていないと言えるので、住所を教える義理もないかな。彼は『プレゼントとか送るときに住所を知らないと』と言うんですけど、実家に住んでた頃から1度も送ってきたことはありません。ほんと、口先男です……」
そこまで一息に話すと、亜弥さんは口調とは裏腹に晴れ晴れとした顔で笑いました。長男の受験に際して、塾に通わせてやりたい、と一応相談したものの、「あなたがやりたいんなら、あなたの収入の範囲でどうぞ」と一蹴されて以来、もう元夫とは連絡もとっていないそうです。
介護福祉士の正社員として、実家の助けも借りながら夜勤も厭わず働いていらっしゃいますが、3人の子どもを養うのは簡単ではないはず。しかし苦労と引き換えに精神的な自由と安定を手に入れた、と亜弥さんは言います。
「彼が私のSNSをこっそりチェックしていることが発覚したので、知られたくないことはそこには書かないようにしています。他人を装ってコメントしてきたりも。『サミシイのか? かまってほしいのか?』と母と笑い話にしています。ちょっと無理してでも、笑いとばして、前向きでいたい。子どもたちのために、自分の人生のために」
来年は、また新しい資格を取得し、ステップアップ、収入アップを目指すという亜弥さん。夏休みに語学研修に行ってみたいという長男のために、その資金も頑張らなくては、と微笑みます。
母は強し。亜弥さんのお話を聞いて、心から敬服しました。それと同時に、彼女がおっしゃるように、どれほど若くても、精神的に追い詰められていても、離婚の際には公正証書を作成するなど、口約束にとどまらずお金のことをしっかり協議することが重要だと思いました。
弁護士の見当がつかなくても、区役所などに行けば相談する機関を紹介してくれたり、無料セミナーを開いていたりしますので、1人で抱え込まず相談してみましょう。また、一人親になったあと、スキルアップのために勉強する場合、補助金が出る資格もあるので、調べてみるのがおすすめです。
何も持っていない、誰もいない、と孤独を感じやすい局面ですが、打開策はきっとあります。まずは周囲の人やお住まいの自治体に相談し、客観的なアドバイスを求めていただけたらと思います。
「ただ、毎日を笑って過ごしたい」というシンプルな気持ちが原動力だったという亜弥さん。これからも健康を大切に、手に入れた幸せな日々が続くよう、祈っています。
取材・文/佐野倫子
構成/山本理沙
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