作家・ライターとして、多くの20代~40代の男女に「現代の男女が抱える問題」について取材をしてきた山本理沙。その赤裸々な声は、まさに「事実は小説より奇なり」。社会も価値観も変化していく現代の夫婦問題を浮き彫りにします。

今回は10歳年下の男性と結婚後、たったの3ヶ月でスピード離婚を決意した女性を徹底取材。仲睦まじい蜜月を過ごしてから一転、束縛に借金に不倫......というまさにドロ沼愛憎劇を乗り越えた彼女に、その経緯を教えていただきました。

 
取材者プロフィール早苗さん(仮名)39歳
職業:会社役員
家族構成:独身(離婚歴あり)

  
 


愛と憎しみは、表裏一体


「離婚までは、とにかく色々なことが起きすぎて……うまく話せるか分かりませんが、話したことは好きに書いてもらって構いません」

小さな溜息と共に微笑んだ早苗さんは、先日離婚が成立したばかり。

結婚から離婚までの期間は約1年で、離婚を決意したのは入籍をしたわずか3ヵ月後。そこから離婚調停が始まりました。

「何から話したらいいんでしょう。元夫とは友人同士の集まりで出会って……これまで本当に色々なことがありましたが、たぶん人生で“一番好きな人”でした。実は、今でもその気持ちが全部消えているか分からないです……」

“一番好きな人”というシンプルな言葉には重みがあります。

昨今、離婚率が上がっているとは聞きますが、おそらく多数はもともと恋愛感情で結ばれた男女。その気持ちや情がどこへどのように消えていくのか個人的に気になっていましたが、完全には無くならないまま離婚に至る夫婦もやはりいるのです。

「彼に傷つけられたこと、理不尽な対応をされたことを、“もういいや”と良い意味で諦めて気持ちを切り替えて、もっとスムーズに穏便に離婚することもできたと思います。

でも……たぶん好きだったからこそ、最後はちゃんと向き合って欲しかった。だから反撃もしたし、制裁を与えたくて大人げない馬鹿な行動もしました。でも、後悔はありません」

iPhoneにまだ多く残っている年下の元ご主人とのツーショット写真を見せていただいたところ、長身でハンサムな彼と早苗さんはお似合いの夫婦に見えました。薄化粧でも整った顔立ちがよく分かり、仕事面でも活躍され“デキる女性”という印象の早苗さんですが、元ご主人が10歳年下ということもあるのか、写真の表情は柔らかく、まるで学生カップルのような爽やかさも感じます。

そんな2人が結ばれ、そして離婚に至るまでに起きた出来事は、愛と憎しみは表裏一体というのを痛感するような愛憎劇でした。