主催者発表では1万5千人がデモに参加
さてそんなわけで参加したデモ。
これ以前にも何回か小規模デモには参加している私ですが、今回のはほんとに大きかった! 主催者発表では1万5千人ということだったけど、積極参加と言わないまでも、周辺にわらわらといる私のような人もいれたら、体感としてはもっといる気がしたな~。というのは国会議事堂前のT字型の交差点に集まっている人以外にも、その両側にある「国会前庭」(結構広い公園があるんですよ!)にも、すごくたくさんの人がいたからです。
この日の午前中、ヘビーめのミーティングを終えた後に一人参加だった私は、とりあえず「国葬反対!」「税金使うな!」といったシュプレヒコールに参加した後、するするーっとこちらに流れて一息。みなさんベンチに座ったり、石垣に座ったりしてるんですが、この日は夏と秋の境目! って感じのすごくいい天気で、こんなこと言ったら怒られそうですが、なんかビールでも飲みたい気分です。かき氷とかアイスキャンディとか売ったら、絶対に売れたはず。
思い思いの過ごし方で集まるだけでも立派な「政治参加」
もちろんそんな中でも、そこここに設置されたスピーカーからは、社民党の福島瑞穂さんとか、共産党の志位委員長とか、各種団体の代表とかの演説が聞こえてきます。その辺に腰かけて、ペットボトルのお茶を飲んだりあめ玉とか口に入れながら、聞こえてくる「なぜ総理大臣が『国葬をやる』って言ったら、国会の議論もないまま通っちゃうんですか? おかしいですよね?」なんて言葉に、そうだよその通りと心の中でうなずくと、隣に座ったおばちゃんとおじちゃんのカップルが同じように「ホントそうだよ」とか言ってたり、コスプレした若い学生の男の子と目が合って「だよな」って感じになったり。かと思えば「久しぶり!」なんて再会を喜び世間話してるグループもいたり。登壇したフォークシンガーの歌も聞こえてきます。別に全員が一丸となっているワケではなく、でもぼわーっとした一体感が、あの場を包んでいました。
私は韓国映画『タクシー運転手』を思い出しました。韓国・光州で1980年に起きた民主化弾圧「光州事件」を描いた作品ですが、国の横暴に抵抗するため集まった老若男女は、見知らぬ人に「がんばって」と手作りのおにぎりを配ってる人がいたり、楽器を鳴らして歌ったり踊ったりする人がいたり。みんなが政治を叫んでいるわけではなく、ちょっと見るとお祭りみたいな感じです。でも集まった理由はみんな同じだと、そこにいるみんながわかってる。韓国で朴槿恵が退陣した時の「ろうそくデモ」も、そんなイベントのような雰囲気だったと聞いています。
九段下をはじめ、警官との小競り合いになったところもあったのは事実なんでしょう。そういう映像のほうが面白いのか、マスコミはそういうところばっかりに飛びつくけれど、デモは決してそういうものばかりじゃない。保守系の人のみんながみんな、軍服で靖国神社参拝しないのと同じです。私はちょっと「イワシの群れ」を思い出しました。魚偏に「弱」と書くイワシ(鰯)は、無数の大群で集まり柱状になって巨大生物を装うことで、自分たちを守っているのだとか。別に何をする必要もありません。選挙と同じで「頭数」になるだけで、政治にプレッシャーを与えられる。すごくいい政治参加だなと思いました。
よく「知りもしないで話に入ってくるな」と言う人もいますが、それこそ「分からない人」を意思決定から排除しようとする罠に他なりません。むしろよく分かってないから参加することが大事だし、それこそが民主主義の第一歩だと思います。
前回記事「「国葬問題」から見えてきた、岸田内閣支持率低下の要因」はこちら>>
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