役所広司が映画界に思うこと「若者のために命がけで何かしてくれる大人」でありたい【映画『ファミリア』】

やっぱり日本映画、頑張ってるぞ、面白いぞって言われたいじゃないですか

役所：海外の映画祭で一生懸命頑張っている、インディーズの監督たちの作品にも出たいと思っています。映画祭に出品する作品は、他の国の人たちにも見てもらえる絶好のチャンスですから、賞でも取ろうものなら、宣伝費かけずに宣伝してもらえるじゃないですか（笑）。監督たちは、映画祭では本当に一生懸命、海外の映画人とつながろうとしていますよ。もちろんビジネスもあるでしょうけど。特に日本映画の場合は、低予算ながら一生懸命やってるチームもあるし、そういう作品には参加したいと思っています。

「若者のために命がけで何かしてくれる大人」だった誠治に、役所さんはなんとなく重なります。悩み多き日本映画界で、世界的な俳優のこんな言葉はきっと心強いはず。あとは、もしかしたら、予算の問題……。

役所：いやいや、今まで「予算はあります」っていう映画に出たことないですから。「すみません、ちょっと予算が……」って作品ばっかりですよ（笑）。日本映画、そこは残念なところですよね。韓国映画が今、本当に世界市場で頑張っていますよね。でもそれは韓国の映画人が頑張った結果だと思いますよ。彼らが自国の映画界の環境のために頑張っている時代を、僕も見てきましたし。でも日本の映画界でも監督たちがまとまって、今頑張っていると思いますよ。やっぱり日本映画、頑張ってるぞ、面白いぞ、って言われたいじゃないですか。

役所 広司
俳優。95年に原田眞人監督『KAMIKAZE TAXI』で毎日映画コンクール男優主演賞を受賞。96年『Shall we ダンス？』（周防正行監督）、『眠る男』（小栗康平監督）、『シャブ極道』（細野辰興監督）の3作品で国内主演男優賞を独占。東京国際映画祭主演男優賞を受賞した黒沢清監督の『CURE』(97)、カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した『うなぎ』（97／今村昌平監督）など、国際映画祭への出品作品も多い。12年、紫綬褒章を受章。近年では『三度目の殺人』(17／是枝裕和監督）、『峠 最後のサムライ』（22／小泉堯史監督）などに出演。『孤狼の血』（18／白石和彌監督）などに出演。『孤狼の血』で3度目の日本アカデミー賞•最優秀主演男優賞受賞。『すばらしき世界』（21／西川美和監督）ではシカゴ国際映画祭で最優秀演技賞を受賞。今後は映画「銀河鉄道の父」が23年GW全国公開、Netflixシリーズ『THE DAYS』が23年配信予定。また、ヴィム・ヴェンダース監督によるプロジェクト「THE TOKYO TOILET」の映画にも出演予定。日本を代表する俳優として活躍している。

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